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原田英治さん (AFS31期生 1984年~1985年)
英治出版株式会社 代表取締役社長
高校2年生の時にアメリカ・カリフォルニア州に留学。帰国後、慶應義塾大学法学部法律学科に進学し、外資系企業アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。その後、印刷会社取締役を経て、1999年の英治出版を創業。「ブックファンド」など出版業界の常識にとらわれないビジネスモデルで事業を展開。韓国にも進出しそのフィールドを広げている。
英治出版 公式サイト

—原田さんが留学していた時代と今を比べて、日本と世界の関係性はどのように変化していると思いますか。

20世紀は「強い事」がとても重要でした。人より優位であることや、個が強いということが力をもっていて、ある意味では人を支配していくという文化に根ざしたものだった気がします。しかしそれは21世紀に入ってから行き詰まってきてしまっていると感じます。
今は相手の力を引き出すようなパートナーシップ型の文化が見直され、人との接し方というのが非常に重要になってきています。そういう大きな変化が訪れているように感じますね。

—時代の大きな変化の中で、これからの日本人に求められることはなんだと思いますか。

いろいろあると思いますよ。もちろん語学力も必要でしょう。
でも、例えば日本語が母国語だとしたら、英語だけではなくて、英語以外のもう一つの言語を学習してほしいと思います。自分の母国語ではない言語をあやつることによって、言葉が話せるということだけではなく、相手の気持ちや違う文化を見る目を養うことができる。それはとても重要な経験になると思います。
そういう意味では、語学の学習をすることはいろんなスキルにつながっていくと思いますが、やはり一番大事なのは、姿勢だとか、在り方だと思います。

世界情勢の変化から10代が求められること (動画メッセージ)

—原田さんがAFSの高校生留学で身についたと感じることはなんですか。

見たことないものを見るとか、出会ったことがないものに出会うとか、行ったことのない空気にふれる。それが、今の商売のアイデアの原点になっていると感じます。
当時、アメリカでゴキブリを見た時に、「ゴキブリホイホイ」がなかったんですよ。日本にあってアメリカにはない。その差がビジネスになるんだろうなと高校生ながらに思っていましたし、ないものを見つけた時に想像力を働かせて、自分の持っている情報とつなげるということを何度もしていました。
海外や全然知らないところに行くと、そういう発想が頻繁に刺激として入ってきますから、そういう意味では留学時代はとても刺激を受けたという記憶があります。

—具体的にはどのような形で、今の仕事につながっていますか。

出版社というのは、母国語を大切にするというか、1つの言語だけに対応しているところが多いのですが、英治出版は2004年から韓国での出版も始めました。
それは、僕自身がAFSの留学体験を通じて、世界というのは日本だけではないということを実感したからです。それで、色んな言語や地域に出て行こう、そういうインフラを持つ出版社(パブリッシャー)になろう、という考え方に自然と行き着きました。世界中をみてもこのような出版社はほとんどありません。
新しい視点でものごとを見ることができるようになったからこそ、生まれたビジネスモデルだと思います。

—留学を“AFS”でして良かったと感じることはありますか。

シカゴで働いていた時のプロジェクトチームに、AFSでオランダに留学したことのあるアメリカ人の社員がいました。もちろんそれまでに会ったこともなければ、名前を知っていたわけでもありませんが、“AFS”という言葉だけで、誰よりも距離が近くなりました。
共通の体験をしていて、ベースとなる文化が共有されているところに安心感が芽生えたのだと思います。つながっているという感覚がお互いにあると感じました。
AFSは本当に歴史の古い団体ですから、世界中の思わぬところで「元AFSです」というリターニー(留学経験者)に出会うわけです。初めて会話をするはずなのに、もう既に10も100も会話をしたような関係まで一気にいけるというところが、AFSで留学した一番のメリットですね。1度の体験が、何十年先までもいい影響を与えてくれていると思います。

10代留学が、私に与えた影響 (動画メッセージ)

—中学生でも大学生でもなく、高校生で留学することの価値について教えてください。

やはり一定の期間海外にとどまるということに、大きな価値があると思います。そして、その生活に溶け込んでいくことも高校生だからこそ出来ることなのだと思います。
もちろん、留学の1年間は楽しいことばかりではないですから、ギャップやストレスもたくさんあるとは思います。しかし、大人になると我慢ができなかったり、幼すぎると留学先の文化が自分のオリジナルの文化になってしまうこともあり得ます。自我を成長させながら、まだ我慢のきく高校時代というのは、本当にいい時期だと思いますね。

高校生で留学することの意味 (動画メッセージ)

—高校生留学することで、受験への不安はなかったのですか。

僕はあまり勉強が得意なほうではなかったので、日本の高校に戻ってから1年浪人しました。しかし、大学に入るのが1年遅れたとか、大学に1年多く通ったとか、そういうのは社会にでたらほとんど関係ないですからね。なので、あまりそれについて考えたことはありませんでしたし、受験に有利・不利ということも、個人的にはあまり考えた事はないです。

—留学に興味のある高校生や子供の留学を考えている親御さんたちにメッセージをお願いします。

留学をして、大学に行って、社会人になって、会社をつくって、12年が経ちました。それで、自分はどの時点から充実しているなと感じたかというと、起業したときからです。
起業の前提になったのは留学だったりしますが、とにかく自分で動いて行動した時ほど、自分の経験に裏打ちされた知識を学習できるときはありません。ですから、やりたいことがある人は迷わず行動して、経験してほしいと思います。
留学もそうですし、起業もそうです。何か準備できたらやるということではなくて、とにかく動いてみる。すると意外に志を同じくする人や、それを応援したいという人が集まってくるんですよね。それこそが本当に貴重な仲間になるわけですから、その行動をためらうことはしないでほしいと思います。
何かやってみたいことがあったら、とにかく行動してみること。それが、自分の人生を大きくし、思わぬ変化をもたらすことになるのだと思います。

将来を真剣に考える学生、親御さんへのアドバイス (動画メッセージ)


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