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池上清子さん
日本大学大学院 総合社会情報研究科 教授
(AFS16期生 1969年~1970年)国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連本部人事局行政官、家族計画国際協力財団(JOICEF)、国際家族計画連盟(IPPF)などを経て、2002年から2011年まで国連人口基金東京事務所長を務める。
外務省ODA評価有識者会議委員、内閣官房長官諮問機関アフガニスタンの女性支援に関する懇談会メンバーなどを歴任。

—AFS体験は、その後どのように生きていますか?

私が留学した1969年当時の日本は、オリンピックの後とはいえまだまだ豊かではありませんでしたから、アメリカの豊かさを見てすごいと思う一方、そのギャップの大きさに驚きました。しかし貧しい立場に立った経験があるということが、その後40年近く開発途上国の人たちと関わる中で、とても役に立ちましたね。
もう1つAFSで学んだことは、水平思考をすることがとても重要だということです。私はよく円柱を例にして皆さんに説明するのですが、一方から見ると丸でも違う角度から見ると四角に見えますよね。つまり、ものの見方というのは、ひとつの見方だけではなく、いくつかの見方をして、自分で総合判断をしなければいけないということです。私は授業でもクリティカル・シンキングを心がけていて、「私が言ったことを批判してください」と、どんどんディスカッションするようにしています。一方的な押し付けは、学生が自分で考えることを阻害してしまうので、なるべく参加型で、「先生がいつも正しいことを言っているとは限らない。そういう見方をしてください」と言っています。

AFS体験は、その後どのように生きているか (動画メッセージ)

—AFSならではの魅力は何だと思いますか?

ネットワークが大きいですよね。大学などで講演の機会をいただく場合は、私の人生のターニングポイントを5、6つ話すのですが、いつも1つ目のポイントとしてAFSのことを話します。すると、学生や先生方が「私もAFSで留学しました」と声をかけてくださることがあり、繋がっているなと実感します。
同じ時期に留学した同期の仲間も仲が良く、助けてもらうこともありますし、私が情報提供をすることもあります。こういう繋がりはAFSならではではないでしょうか。大学の同期など他のネットワークもありますが、高校のときに英語で大変な思いをしたなど共有できる体験を持っているので、AFSだとわかった途端にぐっと親しみを感じるのでしょうね。

AFSの魅力 (動画メッセージ)

—留学を考えている人に、メッセージをお願いします。

日本だと“類は友を呼ぶ”で、似たような感じの人でまとまってしまいがちですが、それだと世界の中での日本は成り立たないですよね。やはり多文化というか、違うことは当たり前というコンセプトを身につけてもらうことが必要だと思います。
日本社会は少子高齢化で生産労働人口が減っていますから、恐らく今のままでは成り行かなくなり、海外から労働者の方にもっと来てもらう必要がでてきます。今でもブラジルなど日系の方は多いですが、もう少し広い範囲の国の人たちから助けてもらわなければいけない時期が、近い将来くると思います。そうなると、日本国内の国際化がもっと進むことになりますから、海外の人たちとどう接点をもつのか、どう距離をとるのか、日本の社会の中でどう受け入れていくのかということを考えていかなければ対応できません。ですから、違いがあるということを受け入れることが重要ですね。

留学を考えている人へのメッセージ (動画メッセージ)


この記事のカテゴリー: AFS体験 その後の進路・活動 アメリカ

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