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高津尚志さん (AFS30期生 1983年~1984年)
スイスのビジネススクール IMD 日本代表
1983年にカナダのケベック州に留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本興業銀行へ入行。数年後には、ボストン・コンサルティング・グループやリクルートでキャリアを重ね、数々のグローバルプロジェクトを成功させる。
リクルートWorks編集長を経た後、現在、スイスの世界的ビジネススクール「IMD」の日本市場責任者として、日本企業のグローバルリーダー育成に携わっている。著書に『なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか(日本経済新聞出版社)』など。

 

—今の日本の状況を踏まえ、今後どんな人が活躍していくと思いますか。

今の日本というのは、世界の“大問題”であるとも捉えられます。大問題というのは、今まさに日本が起こしている原発のことで、各国が非常に心配していることです。
一方でこの原発の問題をどのように解決してくのか、そしてどのように原子力というエネルギーを扱っていくのか、あるいは代替エネルギーを開発していくのかという、これからのエネルギーのあり方やエネルギーと暮らしのあり方について、日本から新たな提案を世界に発信できる可能性も生まれています。
しかしそのためには日本人だけで話し合っているだけではらちがあかないことがたくさんあるでしょうから、世界中の英知を日本に集める決意が必要だと思います。そういう時に、世界の人とどのように知恵や気持ちや想いをつなげていけるのかということが試される時代になっていくと思います。そうした社会の中で、若い時に異文化体験をしてきた人、若い時に異言語体験をしてきた人が、活躍の場を大きく広げていけるのではないでしょうか。

10代留学の経験が日本復興のカギとなる(動画メッセージ)

—加速するグローバル化の中で、これから社会にでる10代に求められることは何でしょうか。

国際化というのが全ての人に押し寄せてきているとは思いません。日本は日本でとても気持ちがいい国ですし、経済も大きいですから、日本の中だけで生きていくことは十分可能だと思います。ただし、リーダーとして生きていこうとなった時には話が違います。おそらく高校時代に留学をしたいという気持ちがメラメラ湧きあがってくる人たちというのは、未来を自分で切り開いていける人だと思います。そして、そういう人たちは何らかの形でリーダーになれる可能性を持っている人なのです。リーダーになる人たちは、同じように世界中でリーダーになる人たちとつながって、世界をつくっていくことになると思います。
自分の運命を切り開きたいと思っている人は世界が舞台になっていくと思いますし、日本にいても世界の人とつながって仕事をするということが出てきます。そのために「国や言葉や文化、あるいは経歴、経験が違う人たちが集まって、一緒に考えて何かを成し遂げることは、楽しいことである」ということを、若いうちから知っておく必要があると思います。おそらく多くの人たちが気付いてはいるけれども、十分にできていないことだと思いますね。

世界で活躍したい若者が知っておくべきこと(動画メッセージ)

—10代で留学することで得られる価値を教えてください。

高校生という若い時期に、意欲を形に変えて異文化体験をすることはとても意味があることだと思います。そこでは生半可ではない苦しみもあると思いますし、生半可ではない楽しみもあると思います。けれどその1年の経験が、その後の人生の大きな基礎をつくると思うからこそ、私は10代留学をぜひお勧めしたいですし、応援したいと思います。
留学すると日本の同級生に1年遅れてしまうという心配をする人がいますが、長い人生と捉えた時に、目先の1年はいったいどういう意味をもつでしょうか。もしかすると高校に4年間通うことになるかもしれないけれど、まったく人と違う経験をして、自分の器をひろげて、世界中に友達をつくって、いままでとは違う形で人生を歩む基礎ができるとしたら、何ものにも代えがたい1年になると思います。
もちろん日本を知っていることはいいことですけれど、もうひとつ違う国のことを知っていると、ものの見方が立体的になると思います。それはこれからの時代には非常に重要になってくることですので、できれば10代、20代の間に2つか3つの異文化を経験できるといいと思います。私は高校生で留学して本当によかったと思っています。

10代留学が人生に与える価値 (動画)

——10代留学の経験が、いまにどうつながっていますか。

AFSの留学生としてケベックに住むことは、日本人である自分とケベックの人たちという関係だけではなく、世界各国から来ているAFSの留学生と関係を築くことでもありました。そこにはブラジル人がいたり、香港の人がいたり、アメリカ人がいたり、オランダ人がいたりしましたが、彼らと一緒に1年間異文化の中で過ごしていると「親からはなれて外国で暮らすという旅を一緒にしている仲間」という意識が自然と芽生え、文化も全然違うけれども、そこはかとなく今生きているものが近いという感覚をもちました。それは、人は何か共通している気持ちがあればつながれるのだということを認識できた原体験だったと思います。例えば私の仕事ではフランス人や中国人と一緒に日本企業のグローバル化を応援するというプログラムをやっていますけれども、そういう時にも「これは何のためにやっているのか」ということが共有できると、お互いの違いが障壁ではなくパワーにつながっていくのです。
17歳の私が世界に出て行きたかったのと同じように、45歳のいまも世界とつながっていたいと思っています。その思いは変わりません。そうした思いを持ち続けられるのは、17歳のケベックでの体験が、“違う”ということが怖くない、むしろ楽しいと思わせてくれたからなのだと思います。


この記事のカテゴリー: インタビュー・座談会 カナダ

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