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AFS活動報告

2008/12/14 - 世界で出会ったAFS(13) ~ペルー~

最後の活動場所は南米で初めて日本からの移民を受け入れたペルーです。現在はブラジルに次ぐ推定9万人の日系人・日本人移住者が在住しています。また1990年から約10年間政権を握っていたアルベルト・フジモリ元大統領が、何度も訪日されていた事もあり、「ペルー」という国名は私たちにも比較的馴染みのある国という印象があります。

フジモリ元大統領は財政再建やテロ対策の徹底など国の経済成長に貢献してきました。しかしながら96年の首都リマで発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件以降、この事件でのテロ実行犯を処刑した行為に対する裁判や側近の賄賂疑惑などで一線を退かざるを得なくなりました。それにも関わらず、メディアや国民の間ではいまだに政治の話になると現大統領と比較されるなど、ペルー国内での存在感はまだまだあるようでした。

事件後、半減したままの留学生


AFSペルースタッフ。右がナショナルディレクターのリズベスさん

リマは人口約775万人の巨大都市。世界文化遺産に登録されている旧市街と近代的な新市街に分かれています。旧市街は植民地時代に建てられたカテドラルや石造りの庁舎が多く残され、新市街は海岸沿いに高級住宅地が並びおしゃれなレストランやショップが軒を連ねています。AFS事務所は新市街に近いオフィス街の一角にありました。そこで先月ファミリーチェンジをしたカナダ人留学生Josh君の状況確認や、早期帰国するスウェーデン留学生の母国AFSや学校、AFSニューヨーク本部への報告書類作成や航空チケットの手配などをお手伝いしました。


新市街の海岸沿いは高層ビルやマンション、おしゃれなカフェレストランでにぎやか

残念ながら、AFSペルーでは、日本大使公邸占拠事件以降10年以上経った今も、各国からの留学生が半分に減少したままだそうです。「早く日本からの留学生も受け入れられるように環境を整えたい」とナショナルディレクターのリズベスさんは力説していました。AFSペルーでは高校生留学の他に、半年間の大学生・社会人対象のプログラムも行っています。現在受入れ数は、高校生58人、大学生・社会人留学生29人の計87人、派遣数は32人です。


世界文化遺産となっているリマ旧市街の一角。スペイン植民地時代の建物がそのまま残っています


旧市街の夜はきれいにライトアップされ、若者達でにぎわっています

湖畔の町プーノ
 カナダからの留学生Josh君はペルー南部にあるティティカカ湖畔の町プーノに滞在していました。「南米=(イコール)陽気なラテン系をイメージしていたのに、全く正反対。学校ではみんな閉鎖的で友達もできない」。「文化交流がしたくて来ているのに、誰も僕の話に聞く耳を持たないし、こちらから質問しても十分に答えてくれない。半年間、周りの人との関係作りに努力してきたけれど状況は変わらなかった」とうなだれながら話していました。


プーノからリマに移動したカナダ人留学生Josh君

プーノはアンデス山脈の中央付近に位置する標高3855mにある人口約9万人の小さな町で、気温は年間を通じて平均10度前後。標高が高いため日中は日差しが強く、朝晩はかなり冷え込みます。また酸素が薄いため、階段をあがったり緩やかな坂道を歩くだけで息切れしてしまいます。富士山よりも高い場所でこんなに多くの人が日常生活を送っていることにただ驚くばかりです。このような厳しい環境で生活しているからでしょうか、人々の表情はどこか険しい印象を受けました。
人口の大半はインディヘナ(先住民)で、女性は長い三つ編みの上に山高帽をかぶり、色鮮やかな民族衣装と身にまとっています。彼らの浅黒い肌と、漆黒色の髪はアジア人と共通するものがあります。その昔、まだベーリング海峡が陸でつながっていた頃に、アジアからアメリカ大陸へ渡り南下していった同じ祖先をもつ民族なのだと思うと妙に親しみを感じました。


プーノの町の風景。夕方5時には店が全て閉まり周囲は真っ暗

確かにプーノにはJosh君がイメージしていたラテンのノリも、灼熱の太陽もありません。それでも彼は積極的に友達を作ろうと試みましたが、半年経った今も友達はゼロ。「彼らは自分達の生活を守るのに精一杯。学校では一生懸命勉強して、終わったら今度は家の畑を手伝う。友達と遊ぶという概念はない。この地域の特性も理解したし別の場所へ移りたい」とJosh君。10日ほどかけてホストファミリーや学校、地域コミュニティーなどの調査を行った末、今回はやむを得ずホストチェンジを決定しました。
学校を含めた生活環境に改善すべき点があるものの、家族の生活レベルや学校のシステムに余裕がなくそれができる状況ではありませんでした。ホストファミリーの両親は、ホストチェンジすることを残念がっていましたが、Josh君の言い分を理解し彼の希望を優先させました。


ペルーは太平洋に面しているので魚が豊富。市場には新鮮な魚が並んでいます

リマ郊外ではホストファミリー経験がある3家族に依頼しましたがいずれもNG。2家族は今年大学受験を控えた子供がいるためで、もうひと家族は今は経済的余裕がないといいます。リマから南へ約240㎞の海岸沿いにある町ピスコ、北へ770㎞の海岸沿いにあるチクライヨの支部にも彼のプロフィールを送り、ホストファミリー経験者を中心に依頼することになりました。AFS活動に理解のあるリマ市内の学校でも、関係者にアナウンスしてもらいました。
Josh君は次のステイ先が決まるまで毎日事務所に通い、他の留学生とコンタクトを取って彼らの状況を確認したり、事務の手伝いやリマ界隈で行われるイベントに参加します。「リマと前に滞在していたプーノとは生活習慣も食べ物も時間の流れも全て違う。同じ国とはとても思えない」とJosh君。学校へも行けずさぞ退屈だろうと思いましたが、彼は「村にいたときに比べればとても充実している」と満足顔でした。
プーノでは「ペルーのイメージはグレー」と話していたJosh君。新しいステイ先まで見届けられなかったのは心苦しかったのですが、早く新しい学校で新しい友達を作ってペルーの民族衣装のようなカラフルなイメージに変われる事を願うばかりでした。



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