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受入体験談 レオと暮らした日々

レオと暮らした日々   H.K.(2004年3月)

 初めてレオがうちに来たのは、スモモの花が満開の2003年3月の終わりです。南米、パラグアイ共和国…書類が届いたときは、「どこにあるの?」と早速、世界地図を買いに行きました。
とにかくレオとは1年近く一緒に暮らすわけです。書類の顔写真はアフロヘアーのいかついもので、え、え、え~という感じでしたから、京都駅で出会ったときはびっくりしました。短い髪、小さい顔! 華奢な子という印象でした。髪はアーミーサービスのために切ったそうです。ああそうなんだ。日本にはないので忘れていましたが、彼らは軍隊を経験するのです。

 ともかく新しい生活の始まりです。我が家は、夫、私、痴呆症の姑の3人と猫、犬、鶏の大家族? です。それにレオが加わったのです。レオはスペイン語と英語を話しますが、日本語は2ヵ月ほど勉強した程度です。私も夫も日本語以外は使えません。
でも、「ことばが通じない」点だけ見れば、痴呆の姑も、猫も犬もみな同じ! やってみなければ、できるかできないかわかりません。
人生はエキスペリエンス!レオも体験をするために、はるばると来たのですから。
私は、
 1.この子がファミリーチェンジしたいと言わない限り、私からは絶対しない。
 2.この子が今までしたことがないことを経験させよう。
この2つをテーマにしました。パラグアイは海がない、暑い国ですから雪を知らない、山もない…。結果、テーマ2は全部楽しむことができました。

 最初はお互いに様子を見ながらのスタートです。レオは何でも食べましたが、3ヵ月ぐらいすると、朝ごはんはいらないとか、味噌汁を飲まない、1週間に1 日何も食べない日をつくるなど、変な健康管理をしだしたり、宿題をしない、英語の話せる人としか付き合わない、私たちとも必要最低限のことだけで、1日中ギターを弾いている毎日が続きました。 

 その頃、英語を話せる方との出会いがあり、その方の家でご飯をいただきながら、ここで泊まると電話をしてきましたので、帰らせてくださいとその方に頼みましたら、レオは顔色を変えて帰宅し、「おかーさんはちょっとー(…おかしい)」と、談判を始めました。こんなに日本語が話せるならいつも話してよ…と、言いたいほどでしたが、そんな場合じゃありません! ここで引いては駄目、と一生懸命繰り返し応戦しました。レオは、相手に電話をして確かめたり、すごいエネルギーでしたが、とうとう「おかーさん、ごめんなさい。レオが悪い」と言ってくれました。

 また、ビデオをよく借りました。英語の勉強と言いながら、SEXシーンが必ずあり、それのほうが多いものもあり、見すぎだと注意すると、また、「いいですか、これは大切なこと…とても偉大なことで、僕は医者になるから必要です」と、まことしやかに、申されるのです。「おかーさんは子どもがありません、みんな治したい」とか、今思うとアホらしいですが、そのときは子どもが欲しかったことや、産めなかったことを話して、「僕が子ども」と言って慰められて、抱き合って泣きました。ほんまにアホらしいですが、そんなことがあってうんと近くなり、家族になりました。

 それから後は、家族が一番大切と言って、何があっても優先するようになりました。秋に近くのお寺を借りてレオのギターと、レオの国の民族楽器アルパでコンサートを開きました。アルパ演奏家との不思議なご縁があったおかげですが、地域の人にも勇気ある若者(レオたち留学生はみんな)のことや、AFSのことを知ってもらいたくて、計画しました。LPさんとビラを配り、役場に宣伝を頼みに行ったりしていると、地域新聞や京都新聞さんが載せてくださったので、当日は100人ぐらいの方が来てくれました。感謝でいっぱいです。レオが、「おかーさん、ありがとうございます。レオもやりました。」心底充実した時期でした。

 レオがえびの尾尻をちゅうちゅう吸うのがおかしくて笑い転げたり、おばあちゃんが「あんんた、どなた?」と、朝晩聞いても「レオです、はじめまして」とおどける仕草に笑いました。うどんとどんぶり物が好きになってくれて、献立が楽になりました。友達を連れて来たので、うどんを鍋いっぱい作って出したら、「ホンマニいつもうどんやなー」と、みんな(外国の子供ばかり)でうどんを食べていました。ある日、どこで覚えてきたのか突然、「わしの飯はまだか?」と歌舞伎の口調で言いますので、「へ…」絶句のときもありました。

 子どもがいればこその楽しみと、子どもが味わう悲しみを見ていなければならない親のつらさを、留学生と暮らすことでたくさん経験させてもらいました。レオ(私たちの最初の子ども)が私を「親」にしてくれましたので、今年は同居でない1名を含む家族4人で、新しく来る留学生をお世話させていただきます。
世界中に子どもがいて、いつの日かその子どもたちを訪ね歩く、老後の楽しみまでできました。誰かのためにしたと思っていても、それは自分にとっても良いことで、そして、世界平和という大きな目的のお手伝いができているように思えます。これからも、どうぞよろしくお願いします。

 

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