「共生」の心で挑むホストファミリー体験 H.K./2009年
早いものでホストファミリーをさせていただくようになって8年になりました。その間にマレーシア、パラグアイ、アメリカ、フランス、スイスと、多くの国の若者と触れ合うことができまいた。また、預かった子供だけでなく、その子たちを取り巻く多くの人々との触れ合いもありました。
ことの始まりは、受入家庭がないからという依頼で3週間のプログラムを引き受けたことでした。外国人と暮らすという人生初の出来事に、私も夫も舞い上がっていたように思います。夢のように3週間が過ぎ、あっという間に帰って行ったその子は、昨年ゴールインしました。今年のクリスマスにマリッジパーティーをするのでおとーさん、おかーさん来てください…と招待されました。腰の重い夫と行きます。5年前に我が家で暮らしたフランス人の男の子は毎年夏休みの2ヶ月を我が家で過ごしますし、4年前暮らした子も今日本の大学で日本語を勉強しています。週末や休みの日はうちでご飯を食べています。少しずつ大人になってゆく現在、そこに居る彼らを見る時、流れた時間がうそのように思えます。
今年も、毎日ずーずー鼻をかんで、ヨーグルトをしゃかしゃかせわしなくかき混ぜて、鏡の前で10分以上時間を費やしていた、生意気盛りのやんちゃぼーずが自分の国へ帰りました。あの子の10年後に私達夫婦は会えるでしょうか。もし、会わなければならないとしたら、がっかりさせないおかーさん、おとーさんのまま会いたいので、それが今日から私たちの目標です。
時々、どうして留学生を預かるなど面倒なことをしているのかな…と思うことがあります。最初は頼まれたからでしたが、次に引き受けたのは自分へのチャレンジでした。3週間だからできたのか、10ヶ月は根をあげるのか!3年目は子供によって違うのか??そうしている間に「受け入れる」ということが次第に分かってきました。「受け入れる」ということは全てをありのままに感じるということを、7人の子供たちが教えてくれました。
留学生がうちに来たら、初めにいろいろな約束はしません。何かを決めてもほとんど理解していないからです。でも必ず言うことがあります。それは、「あなたがここにいたくないといわない限り、私たちからは絶対にチェンジを言いません。ここをベースキャンプと思って沢山の友達を作ってください」です。どの子にも言ってきました。10日くらいすると聞きます「居られそう??」1ヶ月くらい過ぎたころまた聞きます。「いる?」その間とにかく会話をします。キッチンのテーブルが彼らの机になります。彼らの使う部屋に、今年初めてオイルヒーターを入れました。今まで暖房のあるのは居間とキッチンだけでしたので、みんなここに集まっていました。冬はみんな着ぶくれています。でも夏は最悪です。何しろ我が家にはクーラーがありませんので、2階の部屋は多分40度以上になっているはずです。なので、夏休みまでに遊ぶ友達を作らないと、悲惨な状況になるのです。みんなせっせと友達作りに励みました。
そして、私が英語を話せないのも彼らには好影響です。少しでも知っている日本語を駆使して自分の要求を伝えなければならないから、みるみるうちに上手になりました。友達ができるようになると、夜の帰りが遅くなったり、電話が長くなったりします。迷惑だと思うことに行き当たればすぐ「それは迷惑だから何とかならないか」と相談することにしています。なるべく彼らから決めてくれるように話を持っていくように心がけています。
私たちは夫婦2人だけの暮らしでしたから、つい何でも不規則になりがちでしたが、朝は早朝に起きてお弁当を作り、学校に行かせると9時頃には家のことは全部終わっているので、仕事も早くできます。朝が早いので夜は早く休むようになりました。生活習慣がとても良くなり、私たちにとって良い事づくめのように思います。夫婦で還暦を迎えますが、楽しみいっぱいのゴールデンエイジになりそうです。一緒に暮らした子供たちの成長も楽しみですし、また、彼らを訪ねる旅も楽しみ。観光旅行にはない、その国の人々の生活に入れていただいた旅もさせてもらいました。とにかく健康でさえあれば、生きている限りこの楽しみは続きそうです。
ホストファミリーをしたいと思われているなら、必ずやってみることです。「妥協」ではなく「協調」、「強制」ではなく「共生」の心で挑めば、エキサイティングな日々を体験できるはずです。もうしばらく現役で「おかーさん」をさせていただくつもりです。今年もよろしくお願いします。
「AFS通信54号」より(全文を掲載しています)
