スウェーデンとカール・ラーションに魅せられて(AFS友の会)


2014年5月24日(土)、ゲストスピーカーに宮田宜子さんをお迎えし、AFS日本協会事務所会議室で、ネットワーキングの集いが開かれました。

友の会メンバー、現留学生、ホストファミリー、ボランティア、職員など約30数名の方々が参加、宮田さんから「スウェーデンとカール・ラーションに魅せられて」というお話を伺いました。当日は元スウェーデン大使大塚清一郎さんも出席くださり、宮田さんのお話の後にラーションの家を訪問されたり、耐久クロスカントリースキーレースにも参加された時の感想を述べられ参加者の想像を膨らませて下さいました。

宮田さんとスウェーデンとの繋がり

宮田宜子さんは岡山市に生まれ、津田塾大学学芸学部英文学科、同大学院修士課程卒業。故・松田銑氏(元リーダーズ・ダイジェスト日本語版編集長)主宰の「ロゴスの会」で英日翻訳を研修。ご二男の龍さんがAFS40期(1993~1994)スウェーデン派遣生になったのをきっかけにスウェーデン語やスウェーデンに関心を持つようになりました。

特に家族愛などを温かなタッチで描く19~20世紀初頭スウェーデンの「国民的 画家カール・ラーション」の絵や生き方に感銘を受け、彼のことを日本に広めることが使命であると確信して「カーリン&カール・ラーション友の会」を主宰されています。

龍さんのホストファミリーと続く交流

宮田さんは1998年に帰国後初めてスウェーデンのストックホルム郊外のホストファミリーを再訪した龍さんに同行、ボートでのお迎え、古いタイル製の暖炉のあるお宅に足を踏み入れた時には、「こういう生き方もあるのか、流れている時間が自分の知っているものとは違う」と感じられたそうです。またホストファミリー所有の島にランチに連れて行ってもらった時に他人がヨットを止めて上陸する姿を見て、個人所有の島であっても「みんなで自然を享有する精神」が育まれていることにも驚かれました。

その後、宮田さんの還暦のお祝いにホストファミリーが来日されたり、宮田さんがご夫君を亡くされた年の旅、またカール・ラーションゆかりの場所を巡る旅、そしてカール・ラーションの孫娘のカーリンさんご夫妻を訪問し交流を深める旅など、スウェーデンを再訪される度に深まるホストファミリーとの親密な交流も写真を交えながらお話くださいました。

カール・ラーションと日本

カール・ラーションは貧しい家庭に生まれましたが、才能を認められ、13歳で王立美術学校に入学し、画家として活躍を始めます。20代でフランスに滞在、パリ郊外のグレー=シュル=ロワン(以後グレー)村に滞在中、妻となるカーリンに出会いました。また日本を含め様々な国から集まった芸術家とも交流しました。この時に日本美術、特に浮世絵に大変惹かれ影響を受け、スウェーデンでのジャポニズムの事例とも言われるようになりました。後述する彼のスウェーデンの家には彼の日本美術のコレクションが数多く展示されています。

宮田さんは今年、パリで開催されたカール・ラーション展にも行かれ、グレー村にも足を伸ばされたそうです。 グレー村ではラーションの絵の描写と同じ風景を目の当たりにして感慨深かったそうです。

カーリンとカール・ラーションを巡って

今回のお話の冒頭、宮田さんはストックホルムの北西約200キロのスンドボーン村にあるカール・ラーションの家の古スウェーデン語で書かれたウェルカム・ボードの写真を見せてくださいました。その家は「カール・ラーション・ゴーデン」という名前がつけられ、ラーションの絵そのままに保存されています。ラーションは夫婦、三男四女の子供たちと使用人含め10人以上の大所帯の家庭生活を生き生きと描きました。この家の中に一歩足を踏み入れると100年以上前の世界にタイムスリップするかのようだそうです。ラーション夫婦がデザインし村の職人たちに作らせた家具、調度、照明器具、そして自身も芸術家であったカーリン夫人が織り、縫い、刺繍したテキスタイル類をラーションは絵の中に登場させています。それらはただ飾られているだけではなく、家族や子孫、ゲストたちに実際に使われていたということが宮田さんには限りなくいとおしく思えるそうです。

宮田さんによると、カール・ラーション・ゴーデンは「まさに実生活と芸術が融合する場、いわゆる『用の美』追求の場で、19世紀のイギリスでウィリアム・モリスやジョン・ラスキン等によって始められた「アーツ・アンド・クラフツ運動」の北欧に於ける実践の場」でした。またラーションが片田舎スンドボーンに定住したことは「文化や芸術というものの発信地はなにも大都会である必要はないのだ!」という強烈なメッセージでもあるとのことでした。

最後に宮田さんは「ラーションの絵の中には『理想的な家庭』『理想的な住まい』が描かれていますが、それが『絵にかいたモチ』でなく、見るものに忘れがたい印象を与えるのは、なんといっても『被写体への溢れんばかりの愛情が絵から滲み出ている』からにほかならないでしょう。」と締めくくられました。

今回は派遣生の親の立場から異文化交流の世界を広げ、そしてご自分の使命を見つけ果たそうとされている宮田さんのお話を通して、参加者は多くを学び、また留学生のみならず周囲全体に異文化交流の場を提供するというAFSの活動の実りを感じることができました。


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