AFSでは世界中で4万人のボランティアが活動していますが、国を越えて活動内容を共有したり、より良い活動を目指して意見交換を行うために、ボランティア・エクスチェンジを行うことがあります。
4月11日、日本から8名の代表ボランティアが渡米し、それぞれわかれて各地の支部を訪問した後、カンザスシティに集まり、アメリカの全国ボランティア大会に参加しました。 約1週間の滞在でしたが、同じAFSボランティアとして共感したり、お互いの活動から学んだりと有意義な機会となったことと思います。
以下に、滞在レポートをご紹介します。


アメリカ・ボランティアエクスチェンジに参加して
(AFS尾三支部 岡野淳子)

独身時代はバックパックを背負い、一人で海外旅行をしていた時もありましたが、今回は久しぶりの海外、そして家事のできない主人と中2と小6の娘をおいての一人旅です。楽しみよりも不安の方が大きく、そして出発までの準備もバタバタしての旅発ちとなりました。

news20160525_volex_okano01

最初の4日間はカリフォルニア州都、サクラメント近くのユバシティという小さな町にホームスティしながら現地の高校を合わせて3つ見学しました。温かく迎えてくれたホストファミリーやボランティア歴40年の頼りになるAFSスタッフのキャロルのお陰で最初の不安もどこへやら、とても充実した日々を送ることができました。
私は留学経験がありませんので、現地の高校の見るもの、聞くものすべてが刺激的でした。最初に訪問した高校ではラフな格好に身を包んだ生徒たちが、朝ごはん片手に20人足らずの小さな部屋へ続々と入ってくる姿を見てまず驚きました。
そして、始まりの挨拶もなく授業が始まり、ラフな格好をした先生が作業の指示をした後、バラバラと実習に入りました。アメリカの高校にはさまざま選択授業があり、私が見学したのは農業の授業でした。その農業の授業の中で鉄材を加工する実習をしていたのです。
その他コーラス、オーケストラ、野球、バスケ、写真、演劇、美術、建築美術など、本当に様々な科目があります。数学や英語、社会などの必修科目は細かく授業が分かれており、自分に合ったレベルのものを選びます。
ユバシティ近くの高校は入学試験がなく、色々なレベルの生徒がいます。そして、様々な人種、宗教の生徒が一緒に勉強しています。HRクラスはなく、生徒が先生の教室に行きます。
そしてドラマのように廊下やキャンパスにロッカーがあり、そこに荷物を置いています。制服もありませんし、お化粧もアクセサリーも自由、クラスによってはスマホを授業に使っていました。
授業は主にグループに別れて、ディスカッションしたり、レポートを書いたりしていました。日本の高校とアメリカの高校、全く違いました。でも違っていることが悪いのではなく、違いを認めること、理解し合うことの大切さを学んだような気がします。

日本人留学生の女の子にも会いました。彼女もすっかりアメリカナイズされていましたが、今7か月がたち、やっと慣れてきたような気がすると言っていました。
おそらく今までいろいろな苦労、葛藤があった中での今の生活なのだと思いました。ホストファミリーともとてもうまくいっていて、彼女を日本に帰らせたくないけれど、日本の家族にも申し訳ないから、彼女を日本の家族とシェアしたいと言っていたのが印象的でした。

そして後半の4日間はカンザスシティに場所を移して、アメリカ全国ボランティア大会です。
アメリカ各地に私と同じようにホームスティをしながら高校の見学や、AFSボランティアと交流していた日本人AFSボランティアの皆さんともここで合流しました。
アメリカ中からAFSボランティアが集まり、意見交換や、活動報告、活動成果の発表を行っていました。私たちが全国ボランティア大会で行っているような内容でしたが、ボランティアに貢献している人への表彰があったり、national councilの投票があったり、さすがAFS発祥の地だけあり盛大でした。

news20160525_volex_okano02

最後の2日間は昨年10月日本に来られていたアメリカボランティアの方たちとのアメリカ・日本グルーブでのディスカッションです。私たちのホームスティの経験や、高校を見学したことで今後どんなアドバイスができるか、どのような事が必要なのか話し合いました。
その話し合いの中で、素敵なエピソードをお聞きました。とてもシャイな日本人留学生がいて、なかなか打ち解けることができなかった。ある時の集まりでその子が折り紙を始めると周りに少しずつ人が集まって来て、いつの間にか全員がその子の周りに集まっていた。その子はその日からもうシャイではなくなったそうです。
私たちも折り紙をたくさん折りました。そしてたくさんの人たちが折り方を教えて欲しいとやってきました。言葉や考え方が違ってもあるきっかけで仲良くなれる。どこの国にもそんな文化がきっとあるはずです。

アメリカのボランティアの方は、色々な子にAFSを経験してもらいたい、そのためにどんなことができるのだろうと私たちに質問を投げかけ、意見を求めました。
正直にいうと、今まで私は目の前のことを解決することに必死でそこまで考えてはいませんでした。
しかし、国は違うけれど、みんなの願いは1つ、留学生やホストファミリーを守り、かけがえのない経験をしてもらうこと。そして世界中に家族を持つことで戦争のない平和な世界を作ることを学びました。みんながその目標に向かって進んでいければ平和な世の中になるのではないか、私がAFSの活動をしている意味を考え直す良い経験になりました。
せっかく頂いた機会を無駄にしないためにも私に何ができるだろうか、帰国してからずっと考えています。

アメリカ・日本グループでの最後の話し合いの時、この素晴らしい機会を持てたこと、こういう場を共有できたことに感動し、あふれ出る涙を止めることができませんでした。遠く離れた国に住んでいる私たちがAFSという組織を通して一つになれた気がした瞬間でした。

思えばひょんなことからホストファミリーをすることになり、最初は通訳としてよんでいただき、何も分からないままLP(=リエゾン・パーソン、留学生とホストファミリーの世話係)になり、色々な方に迷惑をかけながら、そして助けていただきながらこのボランティア活動を続けてきました。
ホストファミリーで終わるはずだった私たちをAFSの活動に誘ってくださった今は亡きTさんはそんな私たちのことをどう思ってくれているのかな、そんなことも考えた今回のボランティアエクスチェンジでした。

news20160525_volex_okano03

アメリカの地で出会ったAFS日本協会各支部の素晴らしい先輩方、支えて下さった尾三支部のスタッフの皆様、快く送り出してくれた家族に本当に感謝しています。今後日本に来る留学生、日本からの留学生、それに関わるボランティアの人々が素晴らしい経験ができることを願っています。


この記事のカテゴリー: AFS活動レポート ボランティア体験談