11月12日、山口市にて国連フェスタ2017のスピーチコンテストで、フィンランドからの留学生エレナが最優秀賞を獲得しました。
「それって文化の問題?」というスピーチ、エレナの深い洞察力に感心しました。

またこのコンテストでは、以前AFSerとして広島支部に滞在していたニュージーランドのジュリエットも国際ソロプチミスト賞を獲得しました。


エレナのスピーチ:「それって文化の問題?」

「日本に来て一番びっくりしたことは何?」「日本の夏熱いでしょう?」「日本のアニメとか好きで来たの?」「日本人と仲良くなるのは難しい?」「やっぱり納豆は嫌いなの?」などなど。日本に外国人として生活をすると聞かれることに終わりがありません。
しかしこういった質問の中には「それは文化に関係なく、個人の問題でしょう?」と言いたくなるようなものが多いと思います。
さらにこんな質問に答えると、それは日本と違う文化全部の代表者の意見と勘違いされます。まったく困ったものです。

一つの国の中でも、地域や民族によって文化が違うといえますし、それぞれの家庭によっても文化は違うことはあるでしょう。
こう考えると自分が過ごしてきた文化と違う文化に出会う確率が、大変高いことになりますね。結局私たちは世界中のどこに行っても異文化交流をしていると思います。

私は今フィンランドという国から山口県に留学に来てます。来る前には荷物だけではなく、心の準備もしてきました。日本の文化を研究したり、周りの人たちから情報やアドバイスももらったりしました。
これは例えば、「日本の学校はかなり厳しいので髪を染めたりしないほうがいい」、「もしかしたらあなたから見ると日本の高校生は幼いかもしれません」、「日本の家では布団で寝るので毎日しいたりあげたりしなくてはなりません」などです。
日本に来て、山陽小野田市のサビエル高校に通い始めてから、もう半年以上経ちました。学校の規則については、厳しいと思うものもあれば、高校生なら当たり前と思うものもありますし、中にはフィンランドのほうが細かくルールを決めているところもあると思います。
また、今は高校二年生と一緒に学校生活を送っていますが、同級生の中には「幼い」と思う生徒がいれば、私よりずっとしっかりした考えや行動をする大人びた人もいます。で、布団に関しては、私は今ホームステイ先でベッドで寝ています...

これらの事実を考えると留学前に聞いたことの多くは文化というよりも個人の事柄だと思うのです。おそらく、この情報をくれた人たちは一人か二人の日本人から話を聞いて「日本はこうだ」、「日本人はをこうだ」と決めつけたんだと思います。これはちょっとおかしいですよね。
確かに色んな人と交わって違いを認めながらも分かち合うのは大事なことです。しかし、あくまでも目の前の異文化の人は、集団の代表ではなく、個人として存在しているはずです。これは私たちは改めて理解しなくてはなりません。

私たちは小さなころから自分の文化の中で受けている影響は無視することができません。でも、今のグローバルな時代に、インターネットに代表される国際的なメディアも存在し、たくさんの情報が得られます。
もし人の個性は成長とともに形になるものとすれば、これはもう自分の文化のものに限らないはずです。色々な文化の影響を受けて、自分が特に興味がある、共感するものに近づきます。
私だってこんな風に日本のことを知って、好きになったのは私の個人としての選択によるものです。今日の世界ではたくさんの情報の中から文化の違いを超えて、自分が得たい情報を選ぶ力が必要なのですから、文化より個人の役目が重要になっていると思います。

さて、今までの話は新しい考えではありませんね。皆さんにだって自分のと違う文化に出会う喜びがあったのでしょうか。
私も日本に来てから色んな日本人に出会いました。明るくていつも笑顔で迎えてくれる人、少し人見知りですぐには心を開いてくれない人も。自分と全然違う考え方の人と、逆に信じられないほど共感できる人。来る前の「日本人のイメージ」とピッタリの人、でもまたそれと全く合わない人。
結局一言で「日本人」といっても中には様々な人々がいますね。この現象は世界中のどこに行っても同じでしょう。だからこれからも人々との出会いとその人の個性を大切にしながら生きていきたいと思います。

最後に、今日話した内容はフィンランド人としての意見ではなく、私個人の意見であることをご理解ください。


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