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留学生活が始まってから今日で丁度4か月が過ぎました。今日まで特に問題もなく、毎日がとても楽しいので時間がおそろしく早く感じます。この4か月を振り返ってみると特に何もしていないような、それでいて毎月様々な行事に参加しているような不思議な感じがします。
ここでの毎日はすでに日常と化していますが、ところどころその中に特別なことが混ざっているのです。だから毎日特に何かあるわけではないのにとても濃密な思い出があるのだと思います。

私の派遣先は中国広東省です。最初にこの知らせを受けた時は特に何も感じませんでした。せいぜい広東語が難しいだろうなとか、食べ物が辛くない場所で良かったとか。
しかし、4か月が経った今、私は自分が大変幸運だったと思います。料理が美味しいのをはじめ、水が豊富なので制限を気にしなくていいということ、生活習慣が比較的日本に似ていたので慣れやすかったということ。両親が元英語教師だったので共通語(いわゆる中国語のこと)はもちろん英語が話せたということ、そしてホストシスターが日本語が話せたということ。これら全てがそろうのは大変凄いことであり、私は相当恵まれていると思います。
ですが、最も幸運だと思う点は中国の寮生活を体験できた点です。

現在、中国の多くの高校は全寮制だと聞きました。しかし、留学生にも寮生活をさせてくれる学校は多くはありません。私の知る限りでは私の学校だけです。ですから、このことを知ったとき、私は自分が幸運だとつくづく思いました。なぜなら私は日本で寮暮らしなんてしたことがありませんし、そもそも中国の学生寮に住める機会なんて、一生にこれしかないと思うからです。あらゆる点で私は幸運でした。
私の住む寮は8人部屋です。ルームメイトのうち一人はホストシスター、残りは全員クラスメイトです。皆とてもいい子達で最初の頃は慣れない英語を使って話しかけてくれ、中国語を教えてくれました。慣れてきたら「普通語、普通語(共通語、共通語)」と言いながら中国語で話しかけてくれるようになりました。誰かが英語を使っている場合、別の子が注意したりして皆で私を鍛えてくれます。私のスピードに合わせて喋ってくれて、私の話にもきちんと最後まで付き合ってくれるので、本当にありがたいです。
同じ部屋ということで、否応なく親しくならなければならないというのが大変助かりました。午前中、教室で話さなくても昼寝の時間や入浴・洗濯をするとき、就寝前などに話すことが出来るからです。もし彼女達がいなければ友達をつくるのにもっと苦労していたでしょう。彼女たちを通して友達になった子が多いからです。なので、ルームメイトという存在がいてとても助かりました。
また、たとえ家に帰ったとしても、ホストシスターや友達は寮にいるので放課後友達と遊ぶなんてことは出来ません。もしそうなったら、とてもつまらなく、寂しく感じると思います。他の子と同じように寮生活をさせてくれるこの学校には本当に感謝しています。

私たちは毎週日曜日の夕方6時ごろ登校し、土曜日の昼に下校します。ほとんどの生徒は毎週帰りますが、家が遠ければ、もしくは3年生ならば1か月に1回しか帰らないそうです。これらはひとえに勉強のためです。長時間かけて登下校するくらいならば、その時間を勉強に費やした方が良い、という考えなのです。ですから、私が日本で毎日登下校に片道1時間半かけていると言うと、多くの子が「なんで寮に住まないの?」と言いました。ここに中国の学校の特徴がよく表れていると思います。
中国の学生にとって一番大事なのは高考(高等学校入学考試)です。全ては高考で良い成績を取るため、ひいてはいい大学に入学するためにあります。そのため、皆毎日鬼気迫る勢いで勉強しています。これは私の日本の学校と大違いです。
他にもいろいろな違いから私は私の通う日本の学校と中国の学校では学校の存在目的そのものが違うのではないか、という結論に至りました。学校の存在目的、なんて日本に留まっていたら絶対に考えもしなかったでしょう。中国に来て私は全く別の世界の「学校」を見ました。

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春節に出かけた、桃花園にて

留学しなかったら考えなかっただろうことはたくさんあります。学校についての他にも、外国について、日本について、日本語について、言語について、勉強について、日中間の歴史について、自分について…。他にもまだまだあります。一つ一つがとても深く、興味深い内容です。学校についてだって思うことはまだたくさんあります。こういうことを考えられるようになった、これは少し成長したということだと思います。それだけで留学してよかったです。
留学は言語習得や文化交流だけではなく、確実に自分という人間の精神的成長につながっていると思います。4か月が過ぎた今、もう半年しか残っていません。あと半年間、どうなるかはわかりませんが、日本を出発した時から成長したと、誇れる体験をしたのだと、胸を張って帰れるように精一杯楽しんで過ごしたいです。

2012年2月 中国より
AFS58期生/(公財)かめのり財団奨学生 安 奈緒子

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