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私はアメリカ合衆国コロラド州での約1年間の留学を終え、数週間前に帰国した。久しぶりの日本の気候や文化に戸惑いを隠せず辛いときもあったが、段々となじめるようになってきているし、日本語も不自由なく喋れるようになった。
私は様々な人々から私の1年間の留学を3分でまとめてほしいだとか、一言でまとめてほしいといった旨を言われるが、それは私には出来ない。なぜなら私は私の人生のどの1年も3分でまとめることは出来ないと思うし、それはその時の自分への冒涜となってしまうような気がするからだ。
今回の留学だって同じである。私は本当にたくさんの人々と出会い、たくさんの経験をした。千夜一夜の物語のように、いくらでも話すことができるくらい濃厚な体験だったと思う。
勿論ここですべてを語るのは不可能なので、今回のこのレポートでは、私が実感したアイデアの一つを紹介したいと思う。

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ホストマザーと

私は日本にいた時から、人を幸せにするファクターについて学校の卒業研究の題材として取り上げ、アメリカの学校でも幸福観についての調査をしようと意気込んでいた。
アメリカに着いて数ヶ月で、この考えは非常に愚かなものだと思い知らされた。なぜなら、”全ての人を不幸にするファクター”も、”全ての人を幸せにするファクター”も、この世界には存在しないからなのだ。
お金、時間、家族、愛情などを、たくさん持ち過ぎて不幸になっている人を見た。その逆に、それらがなくて不幸な人ももちろん見た。例えば、若くして結婚した女性と、晩婚した女性で”どちらが幸せ”か、我々は討論できるだろうか?
アメリカに行く前、自分は決められた型に嵌っていないと思っていたにもかかわらず、自分の深層的なところでは、何かの形での”幸せの型”に嵌っていたことに気づいたのだ。しかしこの1年間、アメリカ人、日本人、たくさんの国の人々と話し、たくさんの人々と価値観を共有し、たくさんの人々の生き方を見ていくうちにそれは人の幸せを根本的に考え直すきっかけとなった。

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コルドヴァ、中国、バングラデシュの留学生と

人は誰だって幸せに生きていたいし、私もだ。この1年間が実を成すのは残念ながら今日明日の話ではない。いつか、私が何を私を幸せにするのか発見出来た時、私はこの1年が私に本当の意味でどう影響を及ぼしたのか、私は知ることになると思う。
それはすなわち、たくさんの生き方に触れ、たくさんの生き方の中から、自分の生き方を見つけるということだ。これはとても難しい。
”生き方がわからない”“自分を見つけられない”
そんな人がたくさんいる世の中で、閃光のようなか細い可能性を見つけていくことは不可能に思えるときもある。しかし私はこの1年で、その眩い光をひたすら追うことを学んだ。そしてその先の可能性を夢見ることも学んだ。
日本の学校に戻って来て、たくさんのキャッチアップや人間関係に今は大変だが、この先私が生きていく中で、この留学が自分をどう変えたのかいずれかは知ることになり、それは私の人生を形作る要素として欠かせないものになると思う。それが、AFSが生涯学習である理由だと思う。私はこの後一生この経験について忘れないだろうし、ずっと人々に語り続けると思う。

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支部での帰国直前のお別れ会

最後にこの1年間支え続けてくれたホストファミリー、コロラドロッキーズ支部のボランティアの皆さん、AFSアメリカ・日本のみなさん、ジャパンソサエティのみなさんそして家族に深く感謝したいと思う。

2014年7月 アメリカ派遣
AFS60期生/ジャパン・ソサエティーみちのく応援奨学生 高橋茜

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