アメリカ合衆国ロードアイランド州ウェスタリーに来てから約6ヶ月間、決して毎日が楽しいわけではなかった。
アメリカという国が心底嫌になり、早く帰国したくてどうしようもなくなることも多々あるが、日本にいたままでは絶対に経験できない苦労や戸惑い葛藤を知ることが出来たのはホストペアレンツと10歳のホストシスターとの毎日や生活や学校での日々のおかげだと思う。

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AFS主催のハロウィンパーティーにて、同支部の留学生たちと

これまでお互いに一人っ子として育ってきた私とホストシスターにとって、同じ屋根の下で「家族」として暮らすことは容易ではなかった。5歳という年の差のせいで、化粧、携帯電話、アイポッドなど私にできて彼女にできないことや私が持っていて彼女がもっていないものに対して、嫉妬されたり八つ当たりされることが主な理由である。
ある土曜日、いつものように太平の惰眠を貪り尽くしてホストシスターと共有のバスルームに向かうと洗面台周囲の異変に気づいた。私の化粧道具が散乱し、壊されていたのだ。彼女とは8月に香水を盗まれて以来お互いの私物を許可無く触らないと約束していたのでホストペアレンツに報告し、結局ホストシスターの負担で新調するということで落ち着いた。
彼女が10歳である以上、高校生の私の方が多少自由が効くのは至極当然のことであり、文句をいうなら私はでなく両親に伝えるべきなのであるが、ホストペアレンツまでもがそれを正当だとみなすことで、「突然やってきて好き放題している女に自分の両親を盗られた」と思うのだろう。こちらとしては、理不尽に一挙一動を非難された挙句に「早く日本に帰れ」などと失礼極まりないことを言われても迷惑でしかないのだが、所詮一人っ子同士の姉妹ごっこなのだと考えればこれも留学生活の醍醐味だと思えるようになった。
結局は他人なのであり、いかに快適な距離で対等な関係を築けるかが重要なのだ。

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感謝祭当日、フットボールのハーフタイムショーに出演した直後の私と観戦にきたホストシスター

また、ホストスクールでの生活もハードだ。理数科目は呆れるほど簡単だが、英語と歴史は予備知識が少ない分大変で、始めの頃は宿題に6時間以上かかった。
しかし、それよりも辛いのは人間関係だった。あるとき声をかけてくれて友達になったと思ったら次の日には会話にすら入れてもらえないなんてことも少なくない。だが、本当に気が合う人と仲良くなれればいいと十分だと割りきり、自分らしくいることでなんとか乗り切れた。
それでも寂しければ同じ支部の留学生と話したり遊びに行ったりすればいい。似たような経験をしているので話が合うし、他国の文化も学べて面白い。見ず知らずの土地で万人に受け入れられようとして思うように行かずに悲しむくらいなら、自分に合う相手と楽しく付き合ったほうが何倍も有意義だ。

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AFS主催の朝食会にて同支部のオーストリア人留学生、タイ人留学生と

渡航前に想像していたきらびやかな毎日などという幻想はこちらに来てすぐに崩れた。留学は実生活であり、過酷なのだ。それでもこの選択を悔いたことは一度もない。15歳で親元を離れ新しい環境で一年を過ごすことは、幾重にも成長する絶好の機会である。

2015年2月 アメリカより
AFS61期生/ボランティア奨学生 舟橋アイシャ

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