AFSでは世界中で4万人のボランティアが活動していますが、国を越えて活動内容を共有したり、より良い活動を目指して意見交換を行うために、ボランティア・エクスチェンジを行うことがあります。

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4月11日、日本から8名の代表ボランティアが渡米し、それぞれわかれて各地の支部を訪問した後、カンザスシティに集まり、アメリカの全国ボランティア大会に参加しました。 約1週間の滞在でしたが、同じAFSボランティアとして共感したり、お互いの活動から学んだりと有意義な機会となったことと思います。
以下に、滞在レポートをご紹介します。

AFSアメリカ全国ボランティア大会に参加して(2016年4月)
(大阪東支部 和久公子)

4月11日から10日間のアメリカ滞在中、前半はマサチュセッツ州北部のアクシュネットという小さな町に行き、現地(AFSマサチュセッツベイ地域)のAFSボランティアのクラムリィーさん一家にホームステイしました。その間、現地のAFS関係の方々にお世話になりながら学校訪問ほかあちこちを訪れました。
近くの町、フェアへイヴンはアメリカに住んだ初めての日本人であるジョン万次郎ゆかりの地であり、日本に対する親しみの情が深いこの地域では今まで日本から沢山のAFS留学生を受け入れて来たそうです。
到着の翌日夜には、私のために地元のAFS関係者や住民が50~60名も集まって,教会の大きなフロアーを使って賑やかで楽しいポットラックの歓迎会を開いてくれました。地域のAFS生たちも集まり、その中に女子2名と男子1名の日本人生徒も来ていましたが、みな大変意義ある楽しいAFS留学を体験している様子で嬉しく思いました。
マサチュセッツのホームステイの後はカンザスシティーに行き、4月15日から日本のデリゲーションの一人としてアメリカのNVA(全国ボランティア大会)に参加しました。

カンザスシティーに着いた日の夕方、さっそく私たち日本の一行を迎えるレセプションが開かれ、食事の後は会場である第一次世界大戦ミュージアムの中を見学しました。
その中で思いがけなくも、アメリカンフィールドサービスのアンビュランストラックが展示されていて足が止まりました。戦場奉仕団の人々によって築かれたAFSの原点と理念に思いを馳せると、実物のトラックを目にして胸に迫って来るものがありました。

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さて、マサチュセッツ州で私は二つの高校を訪問し、授業に出たり学校中を案内してもらったり、キャフェテリアで生徒たちと一緒にランチを食べたり、AFS留学生になったような体験をさせてもらったので、以下はそのレポートです。

4月12日(火)

近くのレークビルという小さな町にあるApponequet Regional high schoolを見学。 生徒数約830名の高校で、生徒たちはスクールバスか車で登校(いなかでバス・電車などの公共機関が無い)。
朝7時20分に高校を訪問、校長先生などに挨拶の後、午前中いくつかの授業を参観。
アメリカでは、生徒が自分の取ったコースに従って教室を移動するので、私も学校内を歩いて各教室に行って生徒の一人として迎えられ授業を受けた。

AP (Advanced Placement) フランス語のクラス
先生一人に生徒は2人だけの特進コース。大学進学を目指し、個人指導に近い高度な授業が行われている。
初級フランス語のクラス
生徒11名。
スペイン語のクラス
生徒7名。
図書室
図書室に集まった16名の生徒に私からAFSの話をしたり、折り紙を教えたりした。この学校に留学中の日本人AFS生や他の教員も加わって、ディスカッションもしたが、地域性で日本への親愛の情と関心が深く大変盛り上がった。
社会(Sociology)のクラス
約20名の生徒と先生で社会問題についてディスカッション。
テーマは「マサチュセッツ州における賃金の男女差の問題」
最初に先生からテーマについて解説があり、生徒たちの活発な質問や意見が出される。先生も生徒も自由にジュースを飲んだりくつろいだ雰囲気での授業だが、日本では有りえないと思った。

4月14日(木)

別の小さな町にあるOld Rochester Regional high schoolを訪問。生徒数約700名の学校。

数学のクラス
生徒16名に幾何の授業。
オーディトリアム(講堂)で「アルコール・麻薬中毒の恐ろしさ」の講義
沢山の生徒と先生が集まり、講師は病院の救急外来の看護師。飲酒運転の事故による悲惨な死傷,麻薬中毒による人生の破滅の実例を数々の写真やデータで示しながらの講義。会場には、20名くらいの生徒が死神の扮装をして参加者を出迎え、見送り、雰囲気を盛りたてている。
英語のクラス
生徒は20名。
14行詩の授業。教材はシェクスピアのマクベスから。
詩作のための創造力を豊かにするため、白い画用紙に絵具で色彩豊かな絵を生徒各自のインスピレーションで自由に描かせる。一見、お絵描きの教室の様な風景。
以前のいろいろな作品(絵やお面など)も含めて教室中が展覧会場のようになっている。明日から一週間の春の休暇になるので、14行詩を作るのが宿題として課される。
緊急事態発生(訓練?)
英語のクラスが終わりかけて、生徒たちが絵を床に広げて絵具を乾かしている時に突然、緊急事態発生の警報が鳴り出した。
「直ちにクラスの出入り口を施錠し、電気を消し、カーテンを全部閉めて教室の隅に全員固まってうずくまるように」とアナウンスが流れる。訓練かと思っていたが、いつまでも解除されず40分ぐらい教室の中にじっと缶詰めになる。
後から分かったが、この時学校の周囲は警察により包囲されていた。銃を持った侵入者がいるので警察が来ているとのことで一瞬緊張が走ったが、結局は、いたずら通報だったことが分かった。無事解放され教室の外へ出てから、遅くなったランチのためにキャフェテリアに行った。
こんなことはよくあるのか、生徒たちは驚いている風でもなく平然としていたので、これもアメリカらしい体験をしたのだと私は思いました。

4月14日(木)夜

最初に訪れたApponequet高校の演劇発表会(ミュージカル「シンデレラ」)に私のホストマザー(私よりずっと若いのですが!)のドンナ・クラムリーが連れて行ってくれた。
本格的な衣装をつけて、かなり本格的なミュージカル。12ドルほどの入場料を取っての2時間の公演。
一ヶ月間の猛練習をしての発表なので、素晴らしいと私は思ったが、先日他の高校で行われた同じミュージカル「シンデレラ」の方がよっぽど出来が良かったと、私のホストマザーの評価は厳しかった。

以上、マサチュセッツ州で私が訪問した高校ではいずれもAFS留学生を受け入れており、New Rochesterの高校は今年、日本人の女子生徒を受け入れていました。
高校は朝7時すぎに始まり、各クラスの生徒数が少ないこと、授業の仕方など日本といろいろ違うことを見学できました。
またアメリカの高校では、どこもスクールカウンセラー室があり生徒が学校や生活のことで相談できるようになっているので、沢山の生徒が積極的にスクールカウンセラーを訪れています。アメリカでは、カウンセリングを受けることは良いことだという意識が根づいており、この点も日本とは異なると感じました。
それで、アメリカから日本に留学希望のAFS生はよく「カウンセリング歴あり」とアプリケーションに記入してありますが、日本のAFSがそれを理由に受け入れを拒否して来た生徒のケースを聞きました。これも、文化の違い、考え方の違いからくるのでしょうが、そうであってもAFSアメリカでは「いかなる生徒も受け入れる」ポリシーであることを聞いて考えさせられました。

日米ボランティアエクスチェンジでアメリカを訪れて、大変意義ある、また楽しい10日間でした。


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