16歳で親元を離れて約一年の異文化体験の旅をして以来、相互理解を目的として世界中で活動するAFSボランティアの精神に魅了され、気づくとフルタイムでその活動を支える事務局員として生きる道を選択していました。
AFS活動を長年支援してくださった寄付者や協力者の方々、活動を通じて共に喜びや感動を分かち合った国内外の関係者との出会い、協働、助け合いのなかから、この25年間に実に多くのことを学ばせていただきました。
今後は、これまでの経験をもとに活動の原点に立ち返り、一人でも多くの皆さまに異文化理解教育を通じての学びの機会を提供することで、社会に貢献してまいりたいと思います。

柔軟で多感な高校時代に、異文化体験による学びの機会を提供するAFSの活動は、二つの世界大戦後に、戦場で救護輸送活動をつづけてきたボランティアドライバーたちが切り開いた、ミッション普及の新たな方法でした。
戦後70年を経てもなお、この活動が意義をもって世の中に受け入れられていることを喜ばしく思います。
これはAFSの異文化体験が、参加した人たちの人生を変えるほどのインパクトをもちつづけてきたからであり、留学生のみならず、ホストファミリー、ホストスクール、受入コミュニティ、それを支える地域ボランティアすべてにプラスの影響をもたらしつづけてきたからにほかなりません。「#AFS effect」の正の連鎖が、長年つづいてきた結果といえましょう。

情報化社会により、多様な価値観に接する機会が増え、留学をしなくても情報が容易に入手できるようになりましたが、一方で、様々な情報を自らが取捨選択する判断力を求められるようにもなりました。
これは同時に、自分と異なる選択をした人々や他の価値観をもつ人々と折り合いをつけて同じ社会のなかで生きていくことが求められることをも意味します。
「多様性=ダイバーシティ」と向き合い、そのなかで生き抜く力をどう育てるかが、社会全体の共通課題として認識されるなかで、AFSが長年培ってきた異文化対応力向上のノウハウを、いままさに社会に提供し、活用いただく時がきていることを実感します。
AFSの最大の強みは、世界60以上の国・地域で多様な文化背景をもちながら活動する各組織が、ひとつのAFSとしてミッションや価値観を共有し、相互依存の関係で交流活動を行っている点です。
当協会も、このAFSのネットワークの一員として、世界の仲間と助け合いながら、ダイバーシティを生き抜く力をもった地球市民の育成に努めたいと考えております。

平成29年7月31日
公益財団法人AFS日本協会
理事・事務局長 河野淳子


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