2020年7月19日(日)オンライン形式の進学・キャリアセミナーを開催しました。
このセミナーは、長年にわたり高校生の海外留学・国際交流プログラムを行ってきたAFSが、「留学後」のひとりひとりの進む道に焦点を当てることで、皆さん自身が「なりたい大人」になるために、「留学後」にさらに前に進んでいく姿を想像してもらいたいと、立命館アジア太平洋大学(APU)の共催のもと、企画・実施したものです。
当日は、中学生から高校生・大学生・社会人まで、約50組の多くの方にお集まりいただきました。

今回、新型コロナウイルス感染予防対策として、オンラインの形式で行うこととなりました。
そのため、参加者の皆様も全国各地よりご参加頂き、また講師も国内外より、お集まり頂いて、なかなか普段の生活では会えない・聞けないお話をたくさん伺うことができました。

最初に、立命館アジア太平洋大学(APU)学長室東京分室の伊藤さんより、大学の視点から「“海外経験”をどう活かすのか?」をテーマにご講演いただきました。

伊藤さんはご講演の中で、

“高校生や大学生で、少し留学を経験していたとしても、人間はすぐに戻ってきた環境に慣れてきてしまう。日本国内にいると多かれ少なかれ「みんなと同じ」であれば大丈夫、という、同調圧力によって、「自分で考えること」や「物事に疑問を抱くこと」から遠ざかってしまうことがある。どうすれば、あの時学んだこと、身に着けた考え方を忘れずにいられるのか・・・。
与えられた情報や意見をそのまま鵜呑みにするのではなくて、自分でもいろんな方向から情報を得ようとすること、特に、「日本」を「世界」の視点から見てみること。
「英語」はそのためのツールでしかないので、「英語が話せる」ことよりも、英語を使って「何を話すか、どう思うか」の方が、ずっと難しくて重要だ”

ということをお話してくださいました。

そして、ご講演の後は、AFSプログラム帰国生が、それぞれの留学体験から、留学後の進路、そして現在のお仕事に対する思いについて、発表頂きました。

一人目、今年の春、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社に入社された浦川さんは、高校1年生から約1年間、メキシコに留学していました。

浦川さんは留学中、メキシコ人がよく言う「アオリータ!」(まだやっていないけど、これからすぐにやるよ!というニュアンスでよく使われる)という言葉に悩まされたそうです。
メキシコ滞在中に旅行へ出発するのに必要な手続きがなかなか進まない・・・問合せても「アオリータ!」と言われるばかり。
そんな中、浦川さんは「なぜ?(WHY)」そうなのか、を考え、そしてさらに「どうやったら(How)」この問題を解決できるのか、考えるようになったんだとか。
さらに、大学時代には、AFSボランティアや某有名外資系家具量販店で働いた経験から、問題の本質をとらえて、効率よく問題解決・発展させて行ける「システム化」に高い関心を抱いたことから、「世界のシステムを創り出せる」現在の会社を選んだそうです。

また、二人目の帰国生、ユニセフキルギス共和国事務所にお勤めの加藤さんは、高校2年生で約1年間カナダへ。

小学生のころからご両親の都合でバングラデシュに住んでいたという加藤さんは、現地でユニセフ職員の方に出会い、強い憧れを持つようになってからずっと、「ユニセフ(国連)職員」という夢に向かって努力してこられたそうです。
そんな帰国子女の加藤さんも、カナダ留学中は、フランス語という大きな壁にぶつかり、苦しんだのだとか。
そんな中、加藤さんが見つけた答えは、「自分の弱さを知りつつも、自分がどれだけ頑張れるのか限界(壁)を作らない」こと。
現在は、夢だったユニセフ職員としてキルギス共和国の教育政策に関わり、コロナ禍でのオンライン教育実施のための支援を行っているそうです。
未来の子供たちにとって重要な「教育」に携われる仕事に、生き生きと取り組まれている姿が画面の向こうから伝わってきました。

UNICEFキルギス共和国事務所(元AFSカナダ帰国生)加藤さんのプレゼンテーション

最後は、講師の皆さんに、参加者の皆さんからの質問にお答えいただきました。
参加者の中には、「将来の進路に悩んでいる」という方の発言が多い中、最も印象深く、3人の講師の皆さんに共通していた答えは「選択肢を広く持つ」ということでした。

今、中高大学生の皆さんは、まだまだこれからいろんなことを知り、選び取っていくための時間と可能性があります。
そんな中で、将来の自分のために、今できることは「視野を広げること」。
目の前にある様々なチャンスに挑戦し、広くたくさんのことを学ぶことで、きっと「自分がやりたいこと」が見つかるはずです。

質疑応答コーナーも、たくさんのご質問に答えていただきました

この日、セミナーに参加してくれた皆さんが「●●という会社に入る」とか「△△という職業になる」ことではなく、「こういうことがしたい」「こんな世界を実現させたい」を見つけることができるように。
このセミナーが、皆さんの背中を押す一つの力になっていることを祈っています。


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