7月9日(土)に一年間一緒に過ごしたロレンツォを彼の母国イタリアへと送り出しました。
送り出してから3日ほど経ちますが、今、「もう二度とホストファミリーはしたくない。」と思うほどの深い悲しみのさなかにいます。
たわいもないことに笑ったり、語り合った日々はもう戻ってこないと思うと涙が止まりません。こんな身を切られるような別れの辛さを経験するとは1年前には考えてもみませんでした。
1年前はお互い知らない赤の他人だったのに、1年で本当の家族になれるなんて不思議だなぁと。

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ロレンツォと共に過ごしたこの1年。楽しいこともたくさんありました。彼が我が家にもたらしてくれた幸せは数え切れません。
しかし、その一方で楽しいことばかりではないというのも本当のところでした。
来日当時ロレンツォは17歳。思春期真っ只中で難しい年頃です。彼にもその年頃特有のたくさんの悩み・葛藤がありました。
家族として過ごす以上、その問題に家族も向き合っていかねばならない時がありました。お恥ずかしい話ですが、ホストマザーとして未熟な私は、最初それをきちんと受け止めてあげることができていたとは言えませんでした。

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ロレンツォが時々私に見せる素直でない態度、不機嫌さに「お世話になっている人にどうしてそんな態度が取れるのか。」と腹を立てていました。ロレンツォは外ではとても礼儀正しい好青年でしたから、会う人会う人に「ロレンツォ君、いい子だね。」と言われることが私は嫌で嫌でたまりませんでした。
「ホストファミリーなんてバカバカしくてやってられない。楽しいことばっかりじゃないのに。」とホストマザーをやっていることに虚しささえ覚えたものです。
しかし、目の前に現れる問題から逃げずに、ロレンツォとトコトン話し合っていくに従って、「この子は私に本当に心を許してくれているから、外では見せない飾らぬ姿を見せてくれているのだ。」とようやく理解することができました。

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お互いの本音をぶつけあい、お互いにあった心の壁が取り去られたとき、私たちは本当の家族になれたと感じました。送別会のスピーチでロレンツォが「本当に家族になった。家族みたいじゃなくて、家族みたいに見えるじゃなくて、本当の家族です。」と言ってくれ、思いが同じであったことが何よりも嬉しかったです。
この1年、私は日本のマンマとして精一杯の愛情をロレンツォに注ぎ、ロレンツォもそれにマンモーネ(お母さん大好き)で応えてくれたと思います。
大変ではありましたが、最高に幸せな1年でした!

「人間は一生のうち逢うべく人に必ず逢える。しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅すぎないときに。」
という言葉を聞いたことがあります。
ロレンツォに出逢うべき時に出逢えて本当に良かった。

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ロレンツォは改札を通っていよいよ別れという時に、私たちに「いってきます!」と笑顔で言ってくれました。「また必ず帰ってくるよ!」という彼のメッセージを大切に胸にしまい、その日を楽しみに待ちたいと思います。
この出逢いを我が家に与えてくれたAFS、支えてくださったAFS支部員の方に感謝の気持ちでいっぱいです。
素晴らしい出逢いをありがとうございました。

2015年にイタリア留学生ロレンツォくんを受け入れ
Yさんファミリー(愛知)


この記事のカテゴリー: ホストファミリー体験談