小松由佳さんの講演を聴いてまず驚いたのはその爽やかな声、理路整然とした語り口、とても聞きやすく分り易かったことです。内容も然りで、複雑な政治情勢等については予め準備された図を用いて、また、避難民の実情等を話される際にはご自身で撮られた写真を効果的に使用され、フォトジャーナリストとしての威力を発揮された素晴らしい講演でした。 更なる驚きは小松さんが日本人女性初のヒマラヤK2登頂の成功で植村直己賞を受賞された事。その果敢なる精神力が小松さんを更なる難関に挑む勇気を与えているのだと思いました。

毎年同じ家族を取材して避難民達の生活をリポートされたそうですが、とても説得力のある方法を取られたと思いました。単発での取材よりは明らかな変化が分かるこの方法だと状況の悲惨さがより鮮明に伝わります。単に「シリア難民の生活」の一コマを見ただけでは到底伝わらない現状を私達はお話や写真で身近に感じられることができたと思います。 小松さんご自身が取材されたご家族の一員の方とご結婚されたことにより小松さんが取材する側とされる側双方の立場になり、お話に更に説得力が加わったように思います。
シリアの現状は10年以上続いた内戦が2024年のアサド政権崩壊により一応独裁政治は終ったものの、言語はアラビア語、宗教は国民の8割がイスラム教徒、政治的にはヨーロッパから見ての中東、地理的には西アジアという複雑な現状の為すぐに平穏な生活を取り戻せる状況にはないとのことでした。
シリアの国土の8割が砂漠で、シリアの人々にとっての砂漠は豊かな自然があるところ、そして生活の基盤を提供してくれるところであるとのこと。それぞれの砂漠に名前をつけ、砂漠には全てがあると思って暮らしていたのに、その平穏な生活も内戦で壊されてしまった。

小松さんのシリアのご家族70名が住んでいたパルミラ。世界遺産でも知られる、かつてはその名前の由来のパーム(ナツメヤシ)が茂っていた美しい街パルミラも見る影もなく破壊され、今や無残な姿を晒している。 そのご家族の一人は兵士として出征し内戦中に捕らえられ、長い間行方不明になっていたが、捕らえられた刑務所で亡くなったことが戦後判明したというような悲劇的な体験もされている。 この方を忍び、息子さんに彼の名前を付けられたそうです。
興味深いお話を色々伺い予定の一時間半はあっという間に過ぎてしまいました。 小松さんが強調されたのは、一番重要なことは異文化の共生。ひいては自分達にとっての平和とは何かを考えること。平和とは壊れるもので、努力なしには平和維持はできないということ。 一旦戦争が起これば、敵味方の関係なく犠牲になるのは兵士だけではなく大半は普通の人達。そして破壊された生活の復興は至難の業。このことを忘れてはならない。
AFSの活動が平和維持の土壌を築く為の小さいけれど大切な一歩になっていると信じたいです。
AFS10期 出原早苗
異文化共生についての録画をご覧ください
小松由佳さんのホームページもぜひご覧ください。 https://yukakomatsu.jp/
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