2026年2月14日-15日、東京・代々木のオリンピックセンターにて、日本各地で活動するAFSボランティアを対象とした「全国ボランティア大会」が開催されました。ボランティア大会はボランティア自身が企画、運営している集まりです。ボランティアがそれぞれの体験や学びを共有しあい、互いを高め合うため、2年に1回開催されています。2026年のテーマは「ミライを描こう~AFSの魅力は無限大∞~」です。全国各地から約170人のAFSボランティアが集まりました。

基調講演
ボランティア大会初日は、宇宙探査科学を牽引する矢野創(やのはじめ)さんにお越しいただき「Fly Together, Explore Together ~異文化体験は宇宙探査の原動力~」と題してご講演をいただきました。矢野さんは世界初の小惑星サンプルリターン探査機「はやぶさ」と後続機「はやぶさ2」で試料採取を担当するなど、三十余年間で約二十種類の日欧米の宇宙探査・実験に参画されている宇宙探査科学のスペシャリストです。現在は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙科学研究所にて宇宙探査研究と人材の育成にあたられています。
実は、矢野さんは1984年に第31期AFS年間派遣プログラム生としてアメリカに留学されたAFS生です。幼いころから流れ星を眺めるなど宇宙に興味があったそうですが、次第に宇宙探査を推進している国の日常生活を経験したいと思うようになり、中学生の時にはAFSの案内を胸に、高校生になったら米国へ留学しようと決意。コネチカット州に約1年間、留学をされました。帰国後はAFSでボランティアも経験しつつ、アメリカの天文学のトップ校で学べる環境を求めて国際基督教大学で物理を専攻、交換留学生として米国カリフォルニア大学バークレー校天文学科でも学び、卒業後に英国ケント大学院で宇宙科学の博士号を取得されました。その後、米国NASAジョンソン宇宙センター等を経て文部省宇宙科学研究所に着任、JAXA統合を経て現在に至ります。
ご講演からは、矢野さんが常に最高の環境を求め、そこから新たな地平を開拓されてきたことが分かりました。国際宇宙大学(ISU)でのご経験もその一つ。宇宙業界を歩くとISUの教授陣や卒業生に世界中で繰り返し出会うそうです。文系か理系を問わず「宇宙」という共通のテーマのもと、各国から若者が一か所に集まり共に学ぶ環境は「宇宙のAFS」とのこと。各国からプログラム参加者が集まるAFSとの共通点に、会場のボランティアには笑顔が広がりました。
小惑星からサンプルを持ち帰るという世界初の試みであった「はやぶさ」の開発や意義についての解説や海洋を持つ天体から近未来のサンプルリターンを目指すという最新のご研究など、宇宙探査の第一線を走る矢野さんのお話に会場のボランティアも大注目。一般の目には難しいと映るミッションに挑戦し続け、次世代育成にも目を配る姿に、AFSボランティアも大きな勇気をもらいました。
最後に、矢野さんからは「宇宙探査科学は日本だけで閉じることはできない。国際的な枠組みの中で進めていかなければならない」というご発言がありました。矢野さんは国際連合オブザーバ機関である「国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)」の太陽系科学委員会委員長、「国際宇宙航行アカデミー(IAA)」の宇宙物理科学委員会幹事も務めていらっしゃいます。このような役割を引き受けるに当たっては、AFS体験中に刻み込まれた「Walk Together, Talk Together」の思いがあるとのこと。よりよい世界のために協力しあう環境を築きながら宇宙探査を続ける矢野さんに、会場のボランティアからは敬意を込めた大きな拍手が送られました。

パネルディスカッション
ボランティア大会の最後に行われたのは受入生によるパネルディスカッションです。高校生のときにAFSを通して日本の日常生活を体験した4人の留学生をパネルに、元受入生2人が司会となり『私たちのミライ~今、そしてこれから』を話し合いました。

パネリストからは、留学中にお世話になったホストファミリーからもらった「いるだけでうれしい、成長を見られてうれしい」という一言から自分もボランティア活動を始めたことや、日本を体験したからこそもっと日本について知りたいと大学進学を志したこと、高校で部活に打ち込んだ経験から弓道場を建てるという目標ができたことなどが語られました。

今回のパネリストは全員、20代。若いながらも「未来はいまからのことだけでなくて、いまかたちづくられている」「話を聞いてみればわかることもある。話を聞いてみることが大事」「小さくても目的を持つことが大切。自分がいま何をやっているかが分かるから」など、数々の名言が飛び出しました。

帰国後、ボランティアとしても活動しているパネリストからは「ボランティアをやる側になると、楽しい。嬉しいよりも、感動の気持ちの方が大きい。ことばにあらわせない。そういう気持ちはAFSで留学したからこそ。AFSでボランティアをしているからこそ」という発言もありました。
自分たちの経験、今、そして未来を丁寧に語る元留学生たちは堂々としていて、とてもまぶしく映りました。
AFSでは年齢も性別も地域もこえて、人と人とのつながりが生まれています。ボランティア大会期間中にも、今後の活動について意見を交わす時間やAFSの国際的なネットワークを活かした研修から持ち帰った学びを共有する場など、さまざまな話し合いの場が設けられました。
これからも対話を通して共によりよい未来をつくっていけるよう、より多くの人がAFS活動に加わってくれることを願っています。

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