2019年7月15日、3日間にわたり開催されてきた愛知サマーセミナー最終日に、AFS日本協会もセミナーを開講しました。

愛知サマーセミナーとは、20年以上続いている地域市民と学校が結びついた市民参加型セミナーです。
今年は、南山大学などの校舎を利用して、多種多様なセミナーが開講されました。

AFS日本協会が開講するセミナータイトルは「海外留学体験者の“本音”セミナー」。
特に、高校生海外留学について、漠然とした期待や不安を抱えている中高生の皆さんの
「実際、高校生で留学に行くって徳?損?」
「高校留学体験者の“今”は?」
などの、気になる疑問にお答えすべく、社会人から高校生まで、多くのAFS留学帰国生が集まり、「正直なところ」をお話しました。

まずは、国際理解ミニ・ワークショップで、「異文化体験」の入り口を体験しました。
海外留学などで海外に滞在すると、留学生は一気に周囲の中で少数派(マイノリティ)になります。
慣れ親しんだ環境では体験することのないほどの、意見の衝突や自分の理解が追い付かない状況に遭遇するでしょう。
そんな時、自分自身はどう考えるのか?
「相手に流されてしまう?」
「自分の意見にこだわってしまう?」
「分かり合えなくていい、とあきらめてしまう?」

同じような境遇に再び出会ったときに、自分がどう考える傾向にあるのか、
それを踏まえて、今後はどのように対応するべきなのか、
自分を知り、自分で考えることの必要性を学びました。

そして、ついに実際の「留学体験」を共有するべく、社会人・大学生・高校生と、様々な世代・立場の留学帰国生とのパネルディスカッションを行いました。

社会人パネリストはお二人、ニュージーランド帰国生で、現在はエネルギー関連企業にお勤めの山本剛平さん、ドイツ帰国生で、現在は総合商社にお勤めの本田直輝さんにお越しいただきました。

本田さんは、英語圏ではない国に留学し、最初は文字通り「右も左もわからない」状態。
そんな中で、本田さんは、日本では「できない理由」ばかり探していた自分から「できるようになるための理由」を探すように。そこでチャレンジを続けたことで、
帰国後さらに、大きな世界に飛び出し、自分の進む道を見つけられたそうです。
「留学」はその期間中では終わらない、そのあとの自分の人生のための糧なのだと教えてくれました。

さらに、山本さんは、留学後にAFS学生ボランティアの活動へ参加。
ご自身の留学体験をもとに、留学生を対象にしたオリエンテーションの運営に携わったり、国際交流イベントを企画・実施したり、ボランティアを通じてさらに多様な経験を重ねました。
現在は、社会人として学生時代よりもさらに関わる人が増え、外国人のみならず、様々なバックグラウンドによる「多様性」の中で「異文化理解」の重要性を痛感している、とのこと。
留学と、その後も継続的に留学体験を生かした経験を積み重ねることが、現在にも非常に役立っているとお話してくださいました。

そして、後半は大学生や高校生の帰国生も参加して、会場からの質問にお答えしました。

やっぱり不安な「語学」の問題。
どのパネリストも、到着した直後は、言葉の通じなさに途方に暮れる思いをしたようです。
今まで触れたことのない、「英語以外の言語」はなおさら、「英語」の国でも(だからこそ?)語学の壁は高く、また周囲との比較を繰り返してしまう日々・・・。
ですが、語学の習得は日々一歩一歩、一人一人、そのスピードや修得方法も違います。
「焦らずに、自分のペースを崩さないこと」そして「わからなければ一人で抱えずに質問すること」が何より大切だと、会場の中高校生へ励ましの言葉もかけられました。

そして、高校生留学だからこそ、帰国後の学校生活のことを考えるのも、不安がいっぱいです。
「休学扱いになると、一個下の学年に入るなんて、恥ずかしい・・・」
「一年間日本から離れていて、大学受験は大丈夫?」など心配な声も聞こえます。

AFSから留学する高校生は、単位認定されて進級する生徒と、休学扱いとなって一学年下に入る生徒がおよそ半分半分になっています。
それぞれに、良い点・悪い点がありますが、当日集まったパネリストはもちろん、これまでに留学に参加した多くの生徒が、いずれの選択肢においても「苦労する部分は必ずあるけれど、それを含めて、高校生のうちに留学してよかった」と話します。
会場に集まった中高生の皆さんも、背中を押されて力強い表情を浮かべていました。

その後は、小さなグループに分かれて、留学体験者との座談会となりました。
セミナー開始直後から、明るくにぎやかな雰囲気であったことも手伝って、会場の参加者ほぼ全員が、留学に関する質問を投げかけ、時間が足りないほどの盛り上がりに。
セミナー閉会後も、居残って色々と質問を続ける熱心な参加者の方もおられました。

「高校生の間に長期(6か月以上)の留学を体験した人」はまだまだほんの一握り。
その、貴重な存在に、直接話を聞ける機会を逃すまいと、一生懸命質問を続ける中高生の表情を見ていると本セミナーを担当した職員も、彼ら彼女らの未来がさらに輝いていくような気持ちになりました。


AFS日本協会では、こうしたイベント等のほかにも、各地で留学説明会を開催しています。
ご参加希望の方は、イベント&ニュースの「留学説明会」をご参照ください。

【関連リンク】 愛知サマーセミナー