AAI (AFS Asia and the Pacific Initiative)は、アジア・太平洋地域のAFSパートナーが加盟するネットワーク組織です。域内のAFS組織が情報交換や交流を通じて地域の活動を発展させることができるよう、毎年会議が開催され、ボランティアの代表や職員が参加しています。

2025年は9月13日~15日に、モンゴル・ウランバートルで開催されました。
今回のホスト国となったAFSモンゴルは、AFSプログラムでモンゴルから日本に派遣された帰国生が中心となって立ち上げた、日本と縁の深い組織です。2020年 に正式にAFSパートナーとなりました。
今回の会議開催にあたっては、日本に派遣された帰国生たちが集結し、日本語通訳をはじめ、会場運営や参加者のサポートなど各方面で活躍し、会議の成功を支えてくれました。


スタディ・ツアーとボランティア研修
AAIでは会議と並行してボランティア研修が開催されました。AFS活動を草の根で支える各国のボランティアが参加し、日常的な気づきや学び、課題感を共有しあいました。
今回は日本を含め5か国から参加がありましたが、アジア域内ということもあり、日本への派遣経験者や日本人のホストファミリー経験者が多く、その経験を振り返る中で、「自分たちの知識やステレオタイプで物事を見ていたことに気づいた」という意見が聞かれました。
その具体的なエピソードとして、次のような話が紹介されました。
マレーシアのボランティアから、「日本人は魚が好きだと聞いたので中華料理店に連れて行ったが、魚が丸々一匹の料理を前にして全く食べなかった」という話がありました。このエピソードを聞き、魚を一匹まるごと調理するのではなく、スーパーで刺身や切り身、調理済みの食品を買う日本の多くの家庭が目に浮かびました。私たちが「当たり前」だと思っていることは、海外では全く違うのだということを改めて感じる体験となり、お互いにもっと情報共有する必要性を強く感じました。
このように具体的なエピソードが共有されたことで、「生徒のことを知る」ことと同様に、「AFSに関わるボランティア自身が、もっと参加国を深く体験し、その経験をAFS活動に生かす方法を考え、実行したい」という、積極的な意見交換が行われました。
「国を超えて日々のAFS活動が生活に根付き、異文化理解を実践していることに感動した」という感想も寄せられ、実りある研修となりました。

また、AFSの国際会議では、参加者が各国の生活や教育事情をよりよく理解できるよう「スタディ・ツアー」が組まれることがあります。
今回のAAIでもスタディ・ツアーが組まれ、ウランバートル市内で留学生の受け入れ校となってる最新設備の学校や、伝統的な住まいが立ち並ぶゲル地区で次世代教育に取り組むチルドレンセンターなどを訪問しました。参加者からは、急激な変化を遂げるモンゴルの様々な面を知ることができ、またそのエネルギーを肌で感じ取ることができたという感想が聞かれました。

AAI Outstanding Volunteer Award(AAI賞)
AAIでは地域において顕著なボランティア活動をされている方を「AAI Outstanding Volunteer Award」受賞者として表彰しています。
2024年度表彰において、AFS日本協会からは名古屋南支部の藤澤幸子さんが受賞をされました。
藤澤さんは、長年にわたりホストファミリーおよび地域ボランティアとして、多岐にわたる貢献を続けられてきました。具体的には、地域の活動を紹介するニュースレターの編集を担当されたほか、一時は地域や全国のボランティアを代表する役職にも就任され、組織全体を支えてこられました。
中でも高く評価されたのは、その傾聴力と温かい人柄です。それにより、コミュニティの精神的な支柱として仲間から大きな信頼を集め、誰もが安心して意見を交換できる建設的なチーム作りに多大な貢献をされました。
藤澤さんは、「私は(自分の子供含め)若者の成長を助けたいと思うただの母親です。ずっとそう思って活動してきましたので、それが表彰されるなんて申し訳ないような」と恐縮しつつ、「長く続けてきたことで今回のような場に来させていただき、若い方のエネルギーをもらうことができた」と喜びを語ってくださいました。

アジアの仲間を手を携えて
AFSのプログラムは、各国のパートナー組織が互いに協力しあいながら運営されています。
特に、地理的な近さや文化・習慣に共通点を持つアジア域内のパートナー同士が、さらなる理解と連携を深めることは、より満足度の高いプログラム運営につながります。その取り組みの一環として、AAIでは今回のような定期会議やボランティア表彰のほか、職員研修やオンラインでのボランティア交流も企画・実施されています。

今後も、活動に一人でも多くの皆様が加わってくださることを心から願っています。
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