第3部
Ⅰ)大学への志望理由

大学への志望動機は3つある。
1つ目の理由は、ヨーロッパの大学に直接入学すること計画したからだ。多くのヨーロッパの大学では語学資格、高等学校の成績と卒業資格、入学試験等を基に外国人学生を正規学生として入学を許可している。また、欧州連合の規定により大学間での交流や編入プログラムも多く存在する。従って直接大学に問い合わせ、受験し、1人の正規学生として学ぶことを計画した。

2つ目は経済的な理由である。始めに大学で専攻したい分野を基に、ハンガリーを含む3つの国の大学を選択した。出願条件、入学資格、学費、奨学金、専攻課程のカリキュラム等を調べ、不明瞭な箇所は大学に直接問い合わせた。その過程で奨学金も視野に入れつつ、大学生活に必要な学費と生活費を具体的に算出した。その結果志望した3つの国の大学の内、2つの国は必要な経費が大変高額であったため、勿論安価では無いが、候補の内で比較的費用の捻出が可能なハンガリーの大学に出願することを決定した。因に、ヨーロッパの大学へ直接入学し生活することに必要な経費と、日本の大学に入学し生活、その後留学生として渡航することに必要な経費を比較した。前者の選択肢がより工面が可能だった。

3つ目は、ハンガリーという国に対する関心である。高校在学時の留学により、多くの文化に接することが出来た。しかし、滞在を通じて理解に苦しむ面や疑問が残ることも多く存在した。分野を問わず、何か物事を理解しようと試みれば試みるほど、多くの疑問に直面する。今回大学受験を通じて、ヨーロッパの大学で学ぶ機会を得た。留学生として大学で一定期間学ぶことも選択肢ではある。しかし、その国の大学の正規学生として勉学に励み生活することで、以前理解に苦しんだことや、より深い文化に接することが出来るのではと考えた。ただ、幾ら受験し入学した正規学生と言っても、日本人学生であることには変わりない。日本文化を伝える機会を作ることが出来ればと考える。

Ⅱ)計画遂行においての準備と行動

以下、出願と受験まで及び渡航前後に必要な手続きへの準備について記す。

  • 志望大学への問い合わせ
    大学のホームページに記載されている、出願資格、試験内容、出願締め切り日、学費、奨学金等の情報を隈無く読んだ。それでも疑問点があれば、大学のオフィスにEメールで問い合わせる。ただし大学からの明確な返答が得られない場合、その国の駐日大使館や文化会館に問い合わせることも有意義である。同じく大学出願の情報や現地滞在についての情報を得られる可能性が高い。
  • 必要経費の工面
    私の場合、合格発表の日程が奨学金申請の締め切り後であったため奨学金を得られなかった。(但し大学学期末の成績次第で、大学からの奨学金や学費免除が授与される機会がある。)従って、高等学校卒業から渡航までの約半年間アルバイトをした。午前9時から午後6時頃までアルバイトをし、その他の時間で学習、炊事等をこなした。ただし、半年間働いただけでは全ての費用を捻出することは不可能だったため、学費等の工面で両親に助けを求めた。最後まで助けてくれた両親に大変感謝している。
  • 渡航ビザの申請
    入学許可証と学費の支払い証明書が発行された後、駐日大使館へ渡航ビザの申請が必要だった。しかし大学から送られるビザ申請に必要な書類の発行に予定より時間がかかり、ビザを申請すると入学日時に間に合わないことが分かった。渡航ビザは到着後1ヶ月の有効期限であり、有効期限内に入国管理局へ長期滞在許可証の申請をする必要がある。また、日本国籍を有する場合、欧州連合の国では90日以内のビザ無しでの滞在が許可されている。従って駐日大使館と大学に連絡を取った結果、ビザ無しで渡航し到着後90日以内に長期滞在許可証を申請して取得すれば問題ないことが判明した。但し、入国時に詰問される場合を考慮し、駐日大使館領事が大学入学目的の入国を許可する証明書を発行された。あくまで1例に過ぎないが、手続きが予定通りに進まない場合の1つの解決策として、参考までに記した。
  • 語学資格の取得
    多くの大学で、現地の言語或いは専攻課程で用いられる言語の資格を保持することが出願資格の1つである。語学試験に備え準備し、速やかに取得することが必要だった。
  • 高等学校での成績及び卒業資格について
    出願条件で高等学校卒業時の成績と卒業資格(この場合、卒業証書)の提示が定められている。英語或いは現地の言語に翻訳されている必要がある。翻訳済みの成績表、証書の発行を高等学校に相談することが必要だった。国によっては大使館が翻訳し、大学に出願する場合もあるため確認が必要である。また、英文での志望理由書を作成したため、作成後、高等学校へ添削を相談した。
  • 9月から新学期が始まる場合、入学前の手続きを考えると8月中には渡航することが必須だった。夏期休暇のシーズンで8月は航空券の価格が上昇するため、入学とその他の日程が決定次第、速やかに航空券の手配を進める必要がある。
  • 渡航後、賃貸物件を探す必要があった。それまでの仮滞在先を得る必要があり、留学時のファミリーの紹介で入学する大学の学生達のアパートに暫く住むことが決定した。ファミリーと受け入れてくれた学生達に、大変感謝している。
  • 現地での長期滞在許可証の申請に、健康保険や場合によっては銀行口座の提示が必要だった。これらの手続きは滞在時の安全を保証するものであるため、1つずつ、丁寧に進める必要がある。

最後に、大学で学ぶことへの応援と多くの準備に協力してくれた両親、高等学校の先生方、応援してくれた友人達、大学生活を始める為に具体的に助言を与えて助けてくれた大学の友人達やオフィスの担当係の方に、大変感謝している。

そして私が嘗て言った、「何時か必ず帰ってくる。」という言葉を、誰よりも信じて待っていてくれた私のファミリーに、感謝の言葉を贈りたい。

2019年 8月15日
64期ハンガリー派遣生 井戸 和音

前編:留学レポート 約束の列車への切符 を読む
(第1部 高校生でハンガリーへの留学を決意した理由 / 第2部 留学体験記 「切符」)

手続きの合間に撮ったハンガリーの写真

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