2018年9月29日(土)、福岡アメリカン・センターにて、アメリカ大陸の多様性を学ぶ留学フェア~Connecting the AMERICAS~ が開催されました。

このイベントは、留学先として最も人気のある国の一つであるアメリカ合衆国を含む、アメリカ大陸全体をテーマに、留学の目的を「多様性を学ぶ」観点から見つめ、新たな留学の魅力を伝えるため、AFS日本協会が主催し実施しました。
そして、この趣旨のもと、在福岡米国領事館やNPO法人ラテン文化センター・ティエンポ イベロ・アメリカーノ、そして日本の次世代リーダー養成塾にご後援を、また、立命館アジア太平洋大学のご協力を頂きました。
本イベントは、西日本豪雨の影響により、当初予定していた日程より2ヶ月遅れての開催となりましたが、当日は40名の方に参加していただき、大盛況となりました。

プログラムは在福岡米国領事館広報担当領事であるバネッサ 善治氏の開会挨拶から始まりました。
領事から参加者の皆さんに、「グローバル人材とは、世界のどこにいても自分のベストなパフォーマンスができる人のこと」という言葉が送られ、私たちに、世界で活躍するために重要なことは、語学だけではないことを教えてくれました。

その後、 パネルディスカッション「“多様性(ダイバーシティ)”の中で生きる私たちの未来」が行われました。
多くの人が憧れと親しみを持つ国、アメリカ合衆国の多民族国家としてのリアルな一面と、さらに、アメリカ合衆国と移民や経済交流でつながりの深いラテン・アメリカ諸国をテーマに、この地域の「多様性」とそれを原動力にしたエネルギッシュな姿をご紹介頂くため、多彩なパネリストにお集まりいただきました。

パネリスト:

立命館アジア太平洋大学職員 杉山 美帆さん
在福岡米国領事館 福岡アメリカン・センターレファレンス室室長 カグノ 麻衣子さん
ラテン文化センターティエンポ理事長 サンティアゴ・エレーラさん
ラテン文化センターティエンポ職員 折田かおりさん

カグノさんからは、アメリカ合衆国の移民多様化ビザ抽選プログラムという、会場の皆さんからも驚きの声が上がった、大変興味深い米国の滞在ビザに関するプログラムを教えて頂きました。
他にも、アメリカ留学でどのようなことが学べるかを詳しく教えて頂き、アメリカ留学を通じて、語学や知識だけではなく、異文化対応能力や問題解決能力を身に付けられることを学びました。

さらに、杉山さんのお話では、立命館アジア太平洋大学に世界各国から入学してくる留学生が、日本人とは少し違った考え方を持っていること、そして、彼らと共に勉強し、生活することで、日本の学生も異文化によって育まれた思考から学べることが紹介されました。

そして、福岡を中心として日本全国でラテン・アメリカ文化の発信に力を尽くされているサンティアゴさんが、日本国内ではなかなか多くの情報を得ることが難しいラテン・アメリカについて教えてくれました。
中南米ではスペイン語だけではなく様々な言語が話されていることや、中南米諸国の歴代大統領に日系人を初めとしたアジア系移民や、シリアなどのアラブ系移民がいることなど、「日本から見たラテン・アメリカ」ではなく、「ラテン・アメリカ内部から見えるラテン・アメリカの姿」の一部を、私たちに見せてくれました。
また、日本からアルゼンチンに渡り、ラテン・アメリカの魅力に魅せられ現地をよく知る折田さんからは、会場の皆さんに対し、色んな考え方に触れ、自分の知らなかった世界を知ることで、「自分にとって何が幸せなのか」を考えることが大切だ、とメッセージが送られました。

そして、パネルディスカッションの中では、多くの日本人にとって未知な存在であり、広大な土地と多彩な人々という魅力を備えたラテン・アメリカ諸国に、AFSプログラムで留学した帰国生も登場し、留学先のコスタリカでの生活や、その文化と人々の魅力について、話してくれました。
コスタリカでの留学生活は、想像を超える驚きにあふれ、学校の先生が国に賃金の引き上げを要求するストライキを起こす、という政治的な出来事を体験したことが、彼女にとって一番の驚きだったと言います。

後半は、参加者の皆さんも巻き込んで、話して踊って、「異文化」を体感するプログラムを実施しました。

コスタリカとチリの帰国生が、ラテン・アメリカの国々についてのクイズを出題したり、スペイン語ミニ講座を行いました。
クイズでは、その国に行ったことのある人しか知らない日常生活についての問題が出され、スペイン語ミニ講座では簡単な自己紹介を実践するなど、日本国内では触れる機会の少ないスペイン語や中南米の生活を知ることができました。

イベント最後のクライマックスでは、ラテン文化センターティエンポから、プロのダンス講師にお越し頂き、ダンス・パフォーマンスとダンスレッスンが行われました。

初めに、ラテンダンスの代名詞とも言えるサルサと、メレンゲという種類のパフォーマンスが行われ、会場の雰囲気も一気に盛り上がりました。
ダンスレッスンでは、ラテンダンスの様々なステップを教えていただき、参加者の皆さんも、恥ずかしがりながらもダンスに挑戦する姿が見られました。
「バスでも誕生日会でも、日常で常に踊っている」というラテンアメリカの人々とダンスの強いつながりを感じる、貴重な体験となりました。

このイベントが、集まってくれた中学生・高校生の皆さんにとり、距離としては日本から決して近くないアメリカ大陸の、新たな一面を知る機会になったことと思います。
近年、注目のキーワードとなっている「多様性(ダイバーシティ)」とは何なのか?言葉はよく聞くけれど、その言葉の意味だけでなく「多様性のある社会」の実態をより深く知ることの重要性を、皆さんに感じてもらえた一日になりました。

最後に、悪天候の中、足をお運び頂いた参加者の皆様ほか、ご協力いただいたすべての皆様に心より御礼申し上げます。

関連リンク:
▼福岡アメリカン・センター
▼NPO法人ラテン文化センターティエンポ イベロアメリカーノ
▼日本の次世代リーダー養成塾
▼立命館アジア太平洋大学


この記事のカテゴリー: 教育 AFS活動レポート