2020年2月16日(日)AFS友の会新春の集いに川平朝清(かびら ちょうせい)氏を講師に迎え、「我が生涯を顧みて」と題してご講演いただきました。
ちょうどコロナウィルスが蔓延し始めていることもあり、川平さんがご高齢であることに加えて多くの参加者が集まるということで、開催も懸念されましたが、大成功のうちに会を閉じることができました。
また、川平さんの最後の勤務先の昭和女子大学の前理事長の人見楷子(ひとみ のりこ)氏(ウィーン在住)もAFSの8期生というご縁もあり、今回はご都合がつかずウィーンからの参加はなりませんでしたが、その関係で8期の方も多く参加してくださり活発な質疑応答の時間がもてました。
私は(AFS15期生・増澤史子)、川平さんが、Michigan State University (MSU)の日本の同窓会長の時に初めてお目にかかり、その後、昭和女子大学での教鞭をお願いして以来、すでに約30年ほどのおつきあいになりますが、今回の講演を簡単にまとめさせていただきました。

参加者の皆さんは全員同意なさると思いますが、川平さんはとても92歳とは思えないほど矍鑠としていらして、唯一、高齢者を示すものは優しく父親の傍に付き添っていたジョンカビラさんの存在でした。

講演の副題「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」(孟子)は、まさに川平さんの人生を一言で、表すものでありました。

講演内容は以下のレジュメに沿ったもので、それぞれにエピソードを、ユーモアを交えながらも、歯に衣着せず、核心をついた語り口で、琉球王国の歴史、沖縄の戦前、戦後、そして現在の諸問題について熱く語られました。
またご自分のGARIOA( Government Appropriation for Relief In Occupied Areas:占領地救済政府資金:フルブライトの前身)の留学の体験からもAFS生のように若い時代に海外を体験することの重要性についても触れられました。
更に、川平さんが留学中に取得したものはMAとMRS。
つまりMaster’s Degree とMrs. Kabiraという話には拍手喝采が起こりました。
ご自分が活躍してこられたそれぞれ時期の時代背景やエピソードは尽きず、質疑応答も尖閣諸島、首里城、人権問題、台北高等学校の制服に至るまで広範囲にわたり、フロアーからの、どの質問にも対してもその回答から学ぶこと大で、時間が許せば、もっと、という雰囲気の中、閉会となりました。

川平さんの戦前、戦後、激動の時代を生き抜き、置かれた環境でその都度、ピンチをチャンスに変え、常に前向きに生きてこられた姿は私たちの励みになり、その才能、お人柄と、ユーモア溢れるプレゼンの見事さを眼の当たりにして、参加者の皆さんは、もし同じ年齢に達することができたら、果たして同じようにできるのであろうかと、感じたのではないでしょうか。

最後に、川平さんからのまとめの言葉です。

「天の時は地の利に如かず、地の利は人の恩に如かず」。


川平さんの力強く若々しい音声を講演の収録ファイルからお聴きいただけます。


以下、講演のレジュメを添えておきます。

I. 台湾の20年―3つの原点

1. 沖縄人としてのアイデンティティの原点
・「内地人、琉球人、本島人」 差別視から琉球王国の歴史、文化を学ぶ
2. 人格形成の原点
・旧7年制台北高等学校 自主・自由の教育
3.放送キャリアの原点
・台北ラジオ放送局児童放送劇団での経験

II. 沖縄―アメリカー沖縄の25年 3つの経験/収穫

1. 米軍占領下の沖縄経験 (1946-53)
・通訳―診療所検査技師助手―ラジオアナウンサー
・52年 4月23日 講和条約発効日の衝撃と失望
2. GARIOA 米留学経験/収穫 (1953年―57年)
・Basic College-Communication Skills “Teahouse of the August Moon”
・International Club MA&MRSの取得
3. 沖縄帰還後の商業放送・公共放送 (1957年―1972年)
・商業放送琉球放送株式会社(RBC)への入社
・公共放送沖縄放送協会(OHK)開局へ

III. 東京の45年―3つの召命

1. NHK国際協力担当経営主幹 (1972年―83年)
・番組の国際頒布と普及、世界放送連盟への参加
・ODAにより途上国技術協力参加
2. 放送文化基金事務局長/監事 (1983年-92年)
・国内外放送関係研究機関もしくは研究者への助成金提供
・国内優秀放送番組、放送技術開発成果への賞金/賞牌贈呈
・外国放送機関もしくは放送局への番組提供、技術供与
3.昭和女子大学教授/副学長/監事(1992年−2011年)
・英語コミュニケーション科目強化への参加
・建学の精神「世の光となろう」に共感・共鳴

文責:AFS15期生 増澤史子(昭和女子大学名誉教授)


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