「AFS友の会オンラインネットワーキングの集い」では2021年12月3日、前駐アフガニスタン大使の鈴鹿光次さんを講師にお迎えし、「アフガニスタン情勢」についてお話しいただきました。

鈴鹿光次さんは1980 年外務省入省。ペルシャ語研修の後、 在イラン大使館で2度、在ロスアンジェルス総領事館、在ミャンマー大使館で在外勤務。2016年9月より4年間、駐アフガニスタン大使、その後、北極兼国際テロ・組織犯罪対策協力大使を務められました。在任中、親交の深かったペシャワール会の中村哲さんとの思い出も語られました。

直前までデリー出張中の鈴鹿さんはオミクロン株水際対策で帰国できるかどうか心配でしたが、「閉じつつあった門戸の僅かな隙間を通り」(鈴鹿さん談)、講演当日の朝、無事帰国され、ご自宅よりオンラインで登場なさいました。

今回は参加されたAFS11期生の小嶋健治さんが次のように感想をお寄せくださいました。


「アフガニスタン情勢」ということで大変時宜を得たテーマであり、興味深く講演会を心待ちにしていました。

流石に(流石などと言って誠に失礼ですが)直前まで現職大使をされた鈴鹿さんのお話し、実に丁寧で且つ分かり易いプレゼンテーションに堪能させていただきました。

20数ページのパワポ資料がお話しに対する理解をより深め、良かったです。

アフガニスタンが多民族国家という複雑さを抱えながらイスラム主義国家を樹立しようともがく中、その時々の西洋の思惑に翻弄され続け、諸外国の侵攻を許してきた苦悩が分かったように思います。

そして今、タリバーン新政権が樹立されたなかで、深刻な資金難やポリティカル派と武闘派による対立と分裂という内紛の可能性に直面していることに危惧を押さえ切れません。更には、援助資金凍結による財政難への対応として麻薬収入に頼る可能性に、制裁を科している諸外国はどう対処しようとするのか、大変難しい問題と感じています。

一方、故中村医師は、水があれば人々を楽にし、農業を豊かに出来るとの信念からガンベリ砂漠緑化計画に着手し潅漑プロジェクトを始めたのに、志半ばにして何者かの凶弾に倒れたことは、良しと思って始めた施策が必ずしも万人の思いと一緒とは限らない、という現実の厳しさ・難しさを感じさせられます。
勿論、中村医師の事案は身代金狙いの誘拐計画が上手く行かなくなったので、犯人たちは自分たちの身の安全を図るため途中で計画変更して殺害してしまった、との見方もあるようですが真実は判りません。(最近の毎日新聞の報道・写真記事を基にしたものですが。)

ところで、タリバーン内務省報道官は「中村さんを尊敬し、感謝している」旨のコメントを発表、氏が暗殺された件に付いては「ガニ政権が中村さんを守るべきだった」と前政権を非難する一方、当時のタリバーンの責任有無については何も触れていません。今後調査を進めるとしているが、どこまで究明されるでしょうか。

一方、街なかの壁に描かれた中村医師の壁画が併記されていた詩と共に塗りつぶされ、「独立」を意味する文字(パシュトゥーン語?)に取って代わられている写真(毎日新聞報道記事・写真)を目の当たりにしますと、外野席から勝手に憶測してはいけない彼の国の複雑な事情があるのだろうと窺われます。

AFS11期・小嶋健治


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