2022年2月25日、「AFS友の会オンラインネットワーキングの集い」ではパリ天文台研究員としてパリ在住の小仲美奈さんを迎え、「高校留学から始まった宇宙への旅~my dream to become an Astronaut for the Future of Space exploration ~」と題してお話しいただきました。

小さい頃より宇宙に興味のあった小仲さんは10歳でJAXAの月探査機「かぐや」の名付け親となり、宇宙飛行士が夢となりました。それには英語が必要と、2011年、15歳でAFS生としてワシントンDC近郊の高校へ留学。
帰国後、東北大学で工学研究科航空宇宙工学専攻。カリフォルニア大学、オランダの国際宇宙大学、ベルリン工科大学でも学び、その間、シンガポールやシドニーでの学会へ参加やインターンシップを果たしながら9か月ほど世界一周の旅をしました。
2020年4月、JAXAへ入職、地球観測人工衛星ALOS-4(だいち4号)開発エンジニアとして勤務。人工衛星を利用した災害対策や、宇宙技術による地球の水源管理や災害把握、地球変動や熱帯林の監視などの研究に携わります。2021年10月からはパリ天文台にて研究員をしながら博士号取得中です。

講演の録画をご覧いただけます

当日、参加なさった河村日美さんが次のように講演をレポートしてくださいました。


はじめに、コロナの影響などが留学生をはじめ、全世界で蔓延している大変な時期に、パリからお仕事直前にも関わらず、AFS友の会の ZOOM講演会を届けて下さった小仲氏の情熱に感謝申し上げます。

月探査機の「かぐや」の名前が採用されたことがきっかけとなった宇宙への夢を10歳から持ち続けて努力されている姿、お話に感動いたしました。今後も、日本を代表する人工衛星エンジニアだけにとどまらず、総合的な世界の宇宙開発を導いていける人を目指していらっしゃるとのこと。月への宇宙飛行士も目指されていることにエールを送りたいです。
学んだことの中では、まず日常生活の中で気象情報や、GPS、災害対策など、宇宙と私たちのつながりはとても身近になってきていることを理解できました。特に人工衛星を送るときには、-100℃から100℃まで激しく気温が変わる環境のため、熱について取り組む課題が多いということなどをパネルで教えていただきました。

JAXAでお仕事をされた方を見たのはテレビの記者会見でしかなかったのですが、小仲氏について驚いたのはその前向きなバイタリティーです。 研究開発をされたことに加えて、女性の地位向上についてもアクションを起こされたことや、大学に入られてから、また、常に宇宙という最先端の分野に携わりながらもカルフォルニアやオランダ、ベルリンなどで学ばれ、現在はパリ天文台で研究を進められ、フランス語を習得しつつ、博士号を取るために頑張っていらっしゃるのはなんて素晴らしいと思いました。また、「UV偏光分光器を搭載した小型人工衛星」という星の形成過程を解き明かす研究テーマもとても美しそうで素敵だと思います。

小仲氏は、月への宇宙飛行士という夢・目標を通して、私たちの地球が宇宙の中で極めてユニークで恵まれた環境のもとの”宇宙船地球号”であり、私たちがその船に乗っていることがどんなに貴重であるかを語ってくださいました。また、一方で、私たちには宇宙について、まだ、わかっていないことが多いということも教えて下さいました。科学者やSFファンの間でしか知られていない宇宙エレベーター説も10年後には実現されているかもしれません。宇宙で関わる問題は単なる技術の結晶だけでなくて、医学・ビジネス・政治・・・多岐にわたる研究の対象であるという、小仲氏の考えも興味深いです。
小仲氏は、宇宙開発に挑戦したい世界の女性たちを応援する国連宇宙本部(UNOOSA)の「Space 4 Women」という活動をしていらっしゃいます。2021年度の「質の高い教育をみんなに」と「ジェンダー平等を実現しよう」というロールモデルのメンターとして、東アジアの研究者として初めて選ばれました。

当日は100名を越える方にご参加いただきました

質疑応答では、小仲氏のご両親が留学には好意的で賛成してくださったこと、ずっと宇宙飛行士になりたいと思っていたことを説明したときも反対なさらず、褒めてくださって活力を得た経験などを拝聴したことも印象的でした。

最後になりますが、これからも小仲氏パワーで素晴らしい未来を切り拓いていってください。AFS 58期にこのようなリターニーがいらっしゃることをとても誇りに思います。頑張ってください。
私は、絵本作家の卵で、「ふぃりあとみかづき」というタイトルで、うさぎが三日月へ冒険に出かけるという絵本を“ひみてぃす”のアーティスト名で出版しています。昨年のクリスマスイヴにAmazonでも扱うようになりました。
今回の小仲氏の宇宙の講義の言葉からは、さらに今までに感じたことのない大きなイマジネーションが湧き、本当に心から感動いたしました。世界の国旗には三日月が出てくることが多かったり、昔から月は多くの国の人々に親しまれてきました。これからも若い人々が同じように、夜空の月と星を見上げて伸び伸びと夢をいっぱいみて、小仲氏のように羽ばたいていくことを願ってやみません。そして、この原稿を書いている今日は、ロシアのウクライナ・キエフへの攻撃が心配されている最中です。宇宙から見た美しい平和な青い色の地球が、平穏であることを願わずにはいられません。

河村日美 (YP36期米国コネチカット州派遣)


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