AFS日本協会は70年にわたり、若者たちの国際交流を支え、異文化理解を促進してきました。戦後の復興期に始まったその活動は、現代の複雑化する社会において、一層その重要性が増しています。今回は、AFS日本協会の加藤暁子理事長に、改めて考える「AFSプログラムの意義」と「70周年を振り返って」を語っていただきました!
自身もAFSでの留学経験がある加藤理事長は、留学中やその後の人生の中で様々な不条理を目の当たりにし、人種や民族、国籍や宗教を超えて人々が互いに理解し、尊重し合う世の中へと変える必要性を感じてきた。70周年を迎えたAFS日本協会の活動の意義を次のように語る。
「今や自然災害も地球温暖化に伴う気候変動などで、これまで以上に深刻な事態を招き、その被害も大きくなっています。タイで洪水が発生した時、アイスランドで火山の噴火が起きた時…ニュースを目にして『あの時出会った友人は無事だろうか』と気にかける。困っていたら『何か助けられる方法がないか』と考える。その優しい思いやりの心こそが、世界平和への第一歩になります」
「日本のAFS活動が始まって70周年ですが、来年は戦後80年でもあります。昨今の国内外の情勢を見ていると、80年経ってもなお、紛争は絶えず人間は愚かで、また同じ過ちを繰り返そうとしています。そんな今だからこそ、AFSのプログラムが持つ意義が大きくあると思うのです。友人がいる国と戦争をして、互いに銃を向けたいとは思わないでしょう? そういった考えを持つために、この地球が未来永劫青く輝き続けていくために、多感な若い頃に世界中に出会いがあることが大切だと思うのです」
そしてこう付け加える。
「日本は多様な文化を受け入れてきた柔軟性を持つ国。日本人はその特性を活かして、きっと世界で大きな役割を果たせます。これからも多くの若者がAFSを通じて成長し、“Warm Heart Cool Head ”の姿勢で、世界に良い影響を与えてくれることを願っています」
AFSの活動は、ホストファミリーやホストスクール、支部、社会人や学生らのボランティアによって成り立ち、若者たちの国際的な交流を支えてきた。加藤理事長は、これまでのAFSの活動について振り返り、次のように語る。
「American Field Serviceは、戦地での救急車の活動を意味していますが、現在の“Field ”は、高校生という若葉がどんどん茂っていくのを、根を張り、木の幹の役割を果たすボランティアや職員がその葉っぱに栄養を送って、やがて、幹も葉も天に向かって大きく伸び、根は地中でしっかり支えていく。そうすれば“Field”は戦いの場ではなくなります。次世代が世界中で異文化交流を体験できるように、私たち大人はそのお手伝いをする。異文化を理解するのはそんなに簡単なことではありません。10代だけでなく、私たち大人も葛藤して、心を開いていかなければならないチャレンジだと思います。だから寛容な気持ちで一緒に考え、行動して「人財の森」を作っていく価値があると思います 」。
AFS日本支部として70年前に発足した現AFS日本協会。より多くの人に異文化体験をする機会を提供するため、さまざまな企業や自治体の協力を得て奨学金を充実させ、オンラインプログラムの提供や、文科省補助事業「アジア高校生架け橋プロジェクト+(プラス)」の実施など新たな挑戦を行っている。国内外の環境は大きく変容し、そこで中心になって活動するボランティアの人や世代も変わったが、「世界平和」と「異文化交流」の理念は変わらない。異文化体験の機会を提供し、世界平和を達成するために活動するAFS日本協会と共に、私も全力を尽くしたい。
東京学生部 阿部莉央
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