10ヶ月間のチェコでの留学生活は、喜怒哀楽だけでは言い表せないほどたくさんの感情を感じさせてくれた貴重な経験となりました。思い通りにいかないことが起きては、自分の言動を振り返り、その度に「私は今までどれだけ受け身で生きてきたのだろう」と痛感するばかりでした。
しかしどんな時でも、私と向き合ってくれて、私のありのままを受け入れてくれたホストファミリーや先生、友人たちがいました。彼らの寛大さや温かさを実感するばかりで、十分な恩返しをすることができたのかは分かりません。しかし、私の存在や残したものが少しでも彼らの記憶に残り、笑顔につながっていたのなら、それだけで嬉しく思います。

この報告レポートでは私が留学を通して学んだことや興味を持ったことについて書かせていただきます。
一つ目は、「郷に入っては郷に従え」の本当の意味を理解したことです。
留学当初は、関わるチェコ人に対して「私はこの地に慣れていないからもう少し優しくしてくれてもいいじゃないか」と無意識のうちに“相手に合わせてもらう”ことを求めていました。しかし時間が経つにつれて、それは本来私のすべきことだったのだと気づきました。今となっては当たり前に思えるこの考え方も、現地での経験がなければ理解できなかったかもしれません。

二つ目は、完璧じゃなくても大丈夫、伝えようとすることが大事ということを実感したことです。
今まで私は、コミュニケーションこそが深い人間関係を築いていくための術だと思っていました。その反面、初対面の人と話すことが得意ではなく、日本語ですらうまく自分を表現できない自分にとって、異言語での対話はとても高いハードルに思えました。しかし、いざ話してみると言葉が不完全でも、心を込めて伝えようとすることで相手は理解しようとしてくれるし、伝わることを知りました。
「うまく話す」ことではなく、「心をこめて話す」ことの大切さを知ったこの経験は、これから先どんな国でどんな人と出会っても、きっと私の支えになってくれると思います。

三つ目は、言語の奥深さと文化とのつながりにも興味を持ったことです。
そして、チェコ語や英語に限らずとも、今後さらに探究していきたい分野の一つとなりました。日本語以外の言語について語るにはまだまだですが、日本にいながらではなく、異文化の中で言語を学ぶ面白さや楽しさを体感できたことは、何よりの財産です。

最後に、送り出してくれた家族や友人、支えてくださったAFS関係者の方々、そしてチェコで私と出逢ってくださったすべての方々に感謝しています。夢を叶えるための第一歩となるはずだったチェコへの留学は、その意味を成すことにはなりませんでしたが、次はどんなことが私の夢になるのだろうと胸を躍らせながら、好きなことに夢中になり、そしてやるべきことを全うする毎日を生きています。
AFS平和の鳩プロジェクト奨学生 2024年・71期 チェコ派遣 / K.H.さん
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