射殺事件とその後の活動

1992年10月18日(日本時間)、米国ルイジアナ州バトンルージュ市へ留学した服部剛丈(はっとりよしひろ AFS39期生)さんは、ハロウィンパーテイの会場を間違え、家主に射殺されました。
その後、剛丈さんのご両親は「米国の家庭から銃の撤去を求める」請願書を皮切りに今日まで銃規制法の制定に尽力されています。
1993年には、YOSHI基金を設立し「銃が生活の中にない日本を体験してほしい」と米国から日本へ年間留学生(YOSHI基金奨学生)を招いています。AFS日本協会とご両親が所属するAFS東海支部は、その活動を全面的に支援しています。
設立以来、YOSHI基金生は服部剛丈さんの母校である愛知県立旭丘高校を訪問。2007年からは生徒会主催で「安全で平和な社会をつくるには」をテーマに毎年討論会が開かれています。

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2023年度YOSHI基金生 Morzina Shopnaさんの紹介

アメリカコネチカット州出身の16歳。モージナさんは福岡南支部配属で福岡県久留米市に滞在し、西日本短期大学付属高等学校に通学。将来は獣医師になることを目指している。
12月19日に来名し、服部宅に滞在。20日に旭丘高校生徒会主催の交流会に出席、21日は名古屋市立大学にて平和論のゼミ生と交流。22日は名古屋米国領事館を訪問しセンザー首席領事と面会。

旭丘高校生徒会主催 交流会

12月20日開催。交流会でのディスカッションのテーマは
①アメリカの銃事件を減らすには?
②平和のために銃は必要?
生徒会メンバーによって、服部剛丈君(日本人留学生射殺事件) 、アメリカ 銃社会の背景、他国における銃規制についての事前資料が準備された。

AFS東海支部の松井支部長より、AFSについて、そしてモージナさんの他に参加した東海支部の留学生5名の紹介があった。当日、留学生代表として発表予定だったニュージーランドの生徒が急遽体調不良により欠席となったため、その原稿が代読された。

また、当日はメディア各社(中日新聞、朝日新聞、NHK、中京テレビ)の取材が入り、報道された。

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20231220/3000033369.html

中京テレビニュース
https://www.youtube.com/watch?v=8m48Ev6geMg

記念樹の桜と。前列左から3人目がモージナさん。

YOSHI基金生モージナさんのスピーチ(スライド発表)

私の住んでいるコネチカット州はアメリカの北東部にあります。アメリカの州の中で面積が2番目に小さく、人口密度が4番目に高いところです。だいたい、愛知県の面積の3倍の広さになります。世界中にはたくさんの銃があります。

使用目的は大きく4つに分けられています。日本は仕事で人を守るために許可された人だけが使用できますが、アメリカは仕事、楽しみ、保護、殺人の4つの理由で使用している人がたくさんいます。
世界の殺人件数ランキング1位はアメリカだと思っている人が多いと思いますが、194か国の中で1位はブラジルです。アメリカは7位、日本は93位というランキングです。

殺人の多くは銃乱射事件が占めています。毎年アメリカの警察官は人を守るために1000人ぐらいの人を殺しています。警察官による、一般市民の死亡理由の95%は銃器によるものです。また、2022年誤射による死亡者数は2500人で、だいたい16時間に1人は誰かの誤射によりなくなっているそうです。
アメリカで銃はすぐに手に取ることができるため、自殺による死亡リスクが高く、銃による死亡者数の61%が自殺とも言われています。

ここで問題です。1996年から2023年まで、アメリカの学校で銃乱射事件が起こった件数はどのくらいだと思いますか?手を挙げてみてください。
①50件 ②120件 ③254件 ④316件

正解は2597件です。皆さんこの数字を聞いてどう思われますか?びっくりされた方が多いと思います。私も調べてびっくりしました。

アメリカの学校の銃乱射事件の件数のグラフも見てください。私は、このような事件に遭遇したことはありませんが、年々多くの罪のない子供たちが銃による被害者となっているのがわかると思います。

私が住むコネチカット州の大きな銃乱射事件について紹介します。
2021年12月4日、犯人のアダム・ランザが6歳から7歳の子供20人と先生たち 計26人を射殺しました。当日ランザは学校へ行く前に自宅で自身の母親も射殺、ランザも自身の頭部を撃って自殺しました。自殺したため乱射した理由は明らかとなりませんでした。

これはアメリカ史上小中学校で発生した最悪の乱射事件です。そのため銃規制に関する議論が活発化し、購入者の背景を確認するシステムの普遍化や10発以上の弾薬を搭載した小火器や弾倉の販売、製造が禁止となりました。

私が小学生の時、被害者の父ホックリーさんが来校し、講演をしてくれました。サンディフック小学校の事件をきっかけに、息子を射殺した犯人を恨む中からは何も生まれない。犯人も被害者である息子も自閉症があり、精神発達遅滞があります。このような障害を持つ子供たちを助けることが1番だということから Dylan’s Wings of Change を立ち上げました。
このプロジェクトは銃の恐ろしさについてや障害児についてなどの講演活動をしています。また活動募金を募るファンドレイジングもしています。

私は講演を聞いて銃は命を守るものであるが、簡単に人の命を奪うとても恐ろしいものであることを知りました。そして銃規制問題についてきちんと考えてほしいと思いました。

ホックリーさんの情熱的な話は今でも忘れられません。アメリカの銃規制について私たちに何ができるだろうか?
①銃規制法のための請願をはじめたり、ファンドレーザーをしたり、銃の危険性を広めることが大切だと思います。
②私は、厳しい銃規制を支持する政治家に投票することを推奨するために、アメリカの学校で学生に政治のシステムを学習する場を設けることが必要だと思います。
③この図の青いところは銃を買うために安全教育があるアメリカの9つの州です。
私は9つの州だけでなく全各州で銃の安全教育をするべきだと思います。また、大人だけじゃなく子供にも銃の安全教室をすることで、安全な国になるのではないかと思います。

最後に私は、YOSHI基金のおかげで日本に留学することができました。たくさんのことを経験し、たくさんの友達もできて毎日とても楽しいです。服部さんを含めYOSHI基金に携わっているスタッフの皆さんにとても感謝しています。
旭丘高校のみなさんもぜひ、日本から出ていろいろな国を見てみてください。きっと視野が広がり人生においてすてきな時間を過ごすことができると信じています。これで私のプレゼンテーションを終わります。ご清聴ありがとうございました。

発表を受けて、参加者からは「銃についての知識をえることができた。銃事件の数には衝撃を受けた」「日本語が上手で驚いた。基金生の個人的な意見やアメリカに住んでいてどう思うかも聞いてみたかった」「The given speech was so impressive and got a lot of ideas to consider and think seriously. 」などの感想が聞かれた。

ニュージーランド留学生・ハリーさんのスピーチ(代読発表)

今日は、ニュージーランドの銃規制についてお話ししたいと思います。2019年にジャシンダ・アーダーン氏が行った変更に焦点を当てます。
ニュージーランドは、長らく比較的寛大な銃規制で知られていました。しかし、2019年3月15日にクライストチャーチで発生した悲劇的なモスク襲撃事件が、国の態度を大きく変えるきっかけとなりました。この出来事を受けて、首相ジャシンダ・アーダーン氏は迅速かつ断固とした行動をとり、国の銃規制を強化することを決定しました。その結果、2019年4月からニュージーランドではいくつかの重要な変更が行われました。
まず、準軍事的な武器、特にセミオートマチックおよび自動式の銃の所持が制限されました。これにより、一般市民の手に危険な武器が減少し、社会全体の安全性が向上しました。
また、銃の登録が義務化され、所有者の厳格なバックグラウンドチェックが強化されました。これにより、危険な個人が銃を入手することが難しくなり、犯罪の予防に寄与しました。
これらの変更は、国の安全性を向上させるための積極的なステップと見なされています。ジャシンダ・アーダーン首相の指導の下でのこれらの措置は、国民の安全と平和を確保するための重要な一歩となりました。
最後に、我々はニュージーランドの銃規制におけるこれらの変更が、国をより安全な場所にする助けとなることを期待しています。今後もリーダーシップと協力が、より安全で健全な社会を築くために不可欠であることを忘れずにいきましょう。
ありがとうございました。

ディスカッションの様子

参加者の感想(一部抜粋)

〇テーマ1(アメリカで銃の事件を減らすために何ができるだろうか?)について

  • 国民の精神の健康が必要だと思った。銃を持つ人がいる限り銃で身を守る必要がある。
  • 具体案を出すことは難しかったが知識を出し合うことで方向性を定めることができた。
  • それぞれが違う意見を持っていたが、世界で大きな問題となっている銃による死を減らすという点は共通していた。面白いアイデアが多くあり、他の人の意見を聞くのは面白かった。
  • 私はこれまでそのテーマについて深く考えたことはなかった。しかし、これは特に先進国においては緊急の世界的問題でもあり、できるだけ早く対応しなければならないことだ。
  • 誰かが銃を購入する場合には、安全講習が実施されるべきだと思う。

〇テーマ2(平和のために銃は必要なのか?)について

  • 平和のためというより、自分の身を守るために銃は必要であるため人は銃を持つのだと思った。銃の事件を完全になくすことは不可能だが減らすことはできる。
  • 正義や善悪の問題は難しい。なぜ銃が平等のために選択されたかを考えると面白い。
  • 答えが偏ってしまうように感じた。もっと多様な意見を引き出すテーマだと面白い。
  • 難しいテーマだが、よりよい解決策を導き出すために、皆で考えることができた。
  • 経済的な問題に直面している人たちを支援するべきだと思う。
  • 平和の定義は様々だ。しかし、他の人の意見に耳を傾けることができたことが、何より嬉しかった。このような会議は今後も頻繁に開催されるべきだと思う。

名古屋市立大学の学生との交流

12月21日。名古屋市立大学の平田ゼミ生と交流。学生生活や今後の夢について語り合った。

名古屋米国領事館を訪問

12月22日。名古屋米国領事館にて、センザー首席領事と面会。

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