チェコ共和国へ留学して五か月が過ぎました。赤い煉瓦の屋根、可愛らしい街並み、自動車のライトが昼間でも点灯していること、数百メートル間隔であるホスポダ、午前中には終わる学校。
最初の二か月では非日常的だった出来事も、今は日常になりつつあります。

まず、私のファミリーを紹介します。私のホストファミリーはマザー一人で、シスターとブラザーは既に自立しています。マザーにはボーイフレンドがいて、週末には私達のアパートを訪れます。

皆さんは、チェコ共和国という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?私が思い浮かんだことは音楽と首都のプラハ、それだけでした。
私は音楽が好きなので、チェコが音楽で有名であることは知っていましたが、それ以外については全く知りませんでした。インターネットでチェコのことを調べましたが、基本的な情報は掲載されていても、人々の生活や文化、食などはあまり掲載されていませんでした。
そのため私はチェコに住む人々がどのような価値観・考え方を持ち、どのような生活をして、何を学んでいるのか、チェコ共和国に対する関心が高まりました。
そして、私自身が実際にチェコで生活し、多くの人々にチェコのことを伝えたいと思い、チェコ共和国への留学を決意しました。

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新年をマザーのボーイフレンド、マザー、私とマザーの友達の夫婦と

チェコと日本の生活において最も異なることは、学校と休日の過ごし方だと思います。チェコの学校は制服がありませんし、校則も無く自己責任です。授業は十三時から十四時には終わり、部活動も無いので、午後は自分のやりたいことが出来ます。チェコと日本、両国の学校に通い、日本の学校は社会人になるための一環として通うのに対し、チェコは学習のために学校に通う、という感想を持ちました。
また、日本の学校は統一を大切にし、チェコの学校は個性を大切にする、学校だけでもこんなにも異なるのか、と深く感動しました。どちらの学校にもそれぞれの良さがあると思います。
休日の過ごし方ですが、チェコの人々はその殆どを家族と過ごします。勿論友達と過ごすこともありますが、家族の誰かが誕生日を迎える時、その週末には家族全員が集まり誕生日を祝います。クリスマスや新年も同様です。
私は新年をマザーとマザーのボーイフレンド、マザーの友達の夫婦、私の五人で大晦日を過ごし、新年を迎えました。元日の十二時には花火打ち上げられ、新鮮でとても楽しい新年を過ごしました。また、チェコへ来てすぐの夏休みには、マザーと一緒にマザーの友達のコテージへ訪れ、バーベキューを楽しみました。
チェコの大抵の人々はコテージを持っていて、休暇になると、そこで数日間過ごすのが普通だそうです。私は人との繋がりを大切にするチェコの休日が大好きです。

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チェコの首都プラハで、ホストマザーと

こちらへ来て、ホストファミリーや友達、各国からの留学生と過ごす度にチェコのことが大好きになりました。同様に日本のことも大好きになりました。
私は出国前まで、日本のことが好きでも嫌いでもない、そのように思っていました。しかし、日本から離れて遠くから、別の角度から日本を見て、チェコとはまた違った日本の自然、言語、文化の美しさ・素晴らしさに気が付きました。出国前に毎日当たり前に食べていた日本食が、今はとても恋しいです。

勿論、異文化を理解するにあたって悩んだり、困難を感じたこともありましたし、それは今でもあります。
私は出国前まで、異文化理解は簡単で、誰もが出来ることだと思っていました。しかし実際にチェコへ留学し、様々な体験を通して、それは間違いだと気が付きました。異文化理解に対する考え方の甘さを身を持って実感しました。
異文化を理解し、それを受け入れることはとても難しいことです。価値観・考え方が異なるので、それまで自分が正しいと思っていたことが覆される、そんな感覚に陥るのです。異なる文化を理解する、それ自体の意味は単純で誰もが理解できることですが、それを行動にすることはとても難しく、重みのある言葉だと思いました。
異文化理解はとても難しいことである、ということを承知の上で異なる文化に触れること、異なる価値観・考え方を受け入れられる寛大な心を持ち、それを受け入れようと努力することが、異文化を理解する上で大切なことだと思いました。

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チェコでのオリエンテーションにて

また、この五か月間はチェコのこと以外にも、自分自身のことを知ることができました。どんな性格か、何が長所で何が短所か、何が好きで何が嫌いか。日本では考える時間が無くて考えていなかったことを考えるようにもなり、それまで関心の無かったことに興味を持ち、将来自分が何をしたいのか、何を学びたいのかも明確にすることができました。

留学を通して得るものは沢山あると思います。それは、自分が実際に体験して得たこと、人から教えてもらったこと、既にほかの人が知っていたこと、人それぞれだと思います。
例えば私は、チェコのことだけでなく、自分自身を知ることが出来たのは予想外でしたし、私はこの留学中に知ることができましたが、人によっては既に知っていることだと思います。辛い経験はこれからの自分自身の将来に役立つ大きな糧になります。形として表れていなくても、留学で何一つ学ばずに帰国した、ということは無いと思います。

最後に、私は日本で出会った同期生、チェコで出会った各国からの留学生に感謝していますし、彼らのことが大好きです。私が悩んでいた時、苦しんでいた時私を助けてくれました。私は最高の仲間を持つことが出来て本当に幸せです。また、私に留学という機会を与えて下さった沢山の方々への感謝の気持ちを忘れず、残りのチェコでの数か月間を楽しみたいと思います。

2015年4月 チェコより
AFS61期生/みちのく応援奨学金 森美聡

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