長いようであっという間だったメキシコ生活もついに終わりを迎えました。

297日前、不安と期待を胸に降り立った異国の地。右も左もわからず、言葉も文化もまるで通じず、自分は透明人間になったのかなと思うときもありました。たくさん悩んで、たくさん泣いて、何度日本に帰りたいと思っただろう、決してキラキラした日々ではなかったけれど、日本では絶対に見れない景色、できない経験、出会えない人たち、数えきれないほどのことを学び、自分自身と向き合い、成長できたと思います。圧倒的な孤独感と疎外感、自己嫌悪に押し潰されそうになる毎日が信じられないくらいに辛かった。それでも最後の日には、この国を離れたくないって心から思えていたこと、みんなとお別れしたくないって本気で言えたこと、あの瞬間が嬉しくて悲しくて複雑な気持ちでした。

日本を離れて初めて、日本という国の素晴らしさ、家族や友達の存在の大きさに、悔しいほど気づかされました。誰も埋めてくれなかったあの寂しさ、誰も答えてくれなかったあの疑問、誰も止めてくれなかったあの衝動、誰も気づいてくれなかったあの変化、誰にも頼れなかったあの瞬間、全部ぜんぶ今となってはいい思い出でこれからの私を支えてくれる大切な経験だったと思います。
毎日のように電話して真剣に相談にのってくれた家族、どれだけ私が無愛想でしゃべらなくても必ず連れ出して構ってくれたファミリー、落ち込んだ時も自慢したいだけの時も電話して何時間も話をきいてくれた日本の友達、全然スペイン語できないのにずっと話しかけてくれたメキシコの友達、同じような状況の中一緒に成長しようとたくさん相談にのって支えてくれた同期のみんな、ほんとに感謝してもしきれません。

この10ヶ月間、たくさん挑戦して、うまくいかないこともたくさんありました。その度にいろんな人に助けられたと思います。困っていたら手を差し伸べてくれる、笑顔で大丈夫だよって言ってくれる、そんな優しい世界がここにありました。人に頼ることは恥ずかしいことでも、弱さの証でもなくて、人とのつながりを深める大切な一歩だと気づくことができました。自分ひとりでは見られなかった景色も、誰かと一緒だったからこそ見ることができた。怖くても、戸惑っても、また挑戦してみようと思えるのは、ここで出会ったみんなのおかげです。

Gracias, México.
この国と出会えたこと、この時間を過ごせたこと、一生忘れません。ここでの出会い、喜び、葛藤すべてが、これからの私を支えてくれる大切な宝物です。いつかまた笑顔でこの地に戻ってこられますように。

Siempre estarás en mi corazón.
決してこれで終わりじゃない、私の冒険はここから始まります。
この奨学金があったからこそ行くことができた留学です。関係者の皆様、本当にありがとうございました。

三菱商事高校生海外留学奨学金 奨学生
2024年・71期 メキシコ派遣/K.N. さん

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