私は留学に際し大きな目標を持っていました。英会話の上達です。
オーストラリアで私は学校での英語の授業以外に3つの方法で英会話を学びました。テレビ、雑誌、会話です。向こうに行ってリスニング力のなさを痛感した私はテレビの、主にニュースを見て聞き取りの練習をしました。
その中で3月11日の東日本大震災のことを知り、日本で何が起こったか、これからどうなりそうなのかを拙いながらも英語で伝えようとしました。そしてその会話の中でオーストラリアでは原発が1つもないこと、今後も作らない方針であるということを聞きました。私はこの地震で原発の恐ろしさを知り、また、オーストラリア人の自然エネルギーを多く取り入れる精神に共感し、日本でも島国ということを生かした波力発電、山岳地帯の多さを生かした水力発電などの自然エネルギーをもっと増やしていって欲しいと思いました。
このようにニュースを見てその内容について話し合うことによって私は比較的早くから聞き取りができるようになり、それだけでなくオーストラリアの実情も知ることができました。

次に私は語彙を増やすために雑誌・広告を読むという習慣を作りました。日本での長文読解には自信があったのですが、雑誌には連語表現が多く、慣れないうちは1ページ読むのに1時間程かかりとても大変でした。ですがそのおかげで英文の理解力や表現力がついたと思います。

そして何より上達に役立ったと思うのが会話です。私は最初のホストファザーからオーストラリア特有の表現を色々教えてもらいました。たとえば仲間を意味するmate、兄弟を意味するbro(男女ともに使える)、ざまあみろを意味するsucked inなどです。
ホストファザーの話によるとオーストラリアでは街でちょっと人に親切にしてもらった時などに気軽に「Thanks, bro(ありがとう、兄弟)」と言ったりして使うようです。このような言い回しは言われたほうもフレンドリーな気持ちになって、人に親切にしたい気持ちになります。それが困っている人を見過ごさない親切な国柄につながっているのではないかと思いました。

このように会話をすることはオーストラリアの人柄にも触れることができ、されに自分から話すことで英会話の上達の一番の近道になったと思います。
私の英会話の上達は他の留学生と比べ遅々としたものでしたが、帰国も近くなった12月ごろ、日本から英語科の高校生が私の学校に来ました。私はそこで授業の通訳を任され、現地の先生の言葉をその生徒たちに、また、生徒たちの意見を現地の先生に伝えました。先生からも「うまくやってくれたね」と褒められ、日常会話の力がついているという自信を持つことができました。私は将来外交官になりたいという夢がありますが、これはその夢への第1歩だと思います。
さらに英会話の上達の過程で様々な人の話を聴き、それが私の視野を広げてくれました。この留学は私に語学だけではなく色々な人の考えを受け入れるということの大切さを教えてくれました。

この留学を終えて、私自身も、そして日本も、オーストラリアのように民族や生活習慣などの文化の違いを受け入れ、それらを新しいアイデアとして受け入れられるようになってほしいと思いました。今の日本には、まだ差別が色濃くあります。話す言葉も、価値観も違う人を理解し、受け入れるということは大変なことです。私も最初は、オーストラリアと日本の習慣の違いに戸惑い、抵抗を覚えました。ですが暮らしていくうちにそれらにも慣れ、「これはこういうものなんだ」と受け入れられるようになりました。
自分との違いを受け入れることや新しい知識を吸収しようと取り組んでいくことが差別をなくし、世界平和につながる第1歩だということを、この留学を通じて強く感じました。
一緒に過ごしたホストファミリーの仲間たち、支えてくれた両親、AFSスタッフのみなさんにとても感謝しています。またオーストラリアに行く日を楽しみに、今後も英語のさらなる上達を目指して頑張りたいと思います。

2012年3月 オーストラリア派遣
AFS58期生/ボランティア奨学生 平松実咲

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