現在フィリピン共和国に約10ヶ月間の留学をしている九十九舞桜です。
まず初めに、私が留学先にフィリピンを選んだ大きな理由の1つとして、世界の貧困の現状を自分の目でしっかり見て、正しい支援とは一体何なのか考えたいという強い思いがありました。
フィリピンの街中を歩けば、日本にいる自分の幼い兄弟と同じくらい、又はそれよりも小さな子供たちが、行き交う大人たちに手を差し出してお金や食料を乞う姿、裸足にぼろぼろの洋服を着たストリートチルドレン、痩せ細ったホームレスの人々、そして数えきれないほどのストリートドッグを見かけます。道路脇にはゴミが散乱し、舗装されていない歩道、何もかもが日本とは異なりました。
私はこれまでに数回ボランティア活動に参加しフィリピンの貧困の現状を目の当たりにしました。中には受け入れがたい光景もありましたが、現地の人々の生活を実際に見たり話を聞くことによって、それをどう改善していけば良いのか、本当に彼らが必要なものとは一時的な支援ではなく持続可能な、必要最低限のお金や食料、教育を継続して自分たちで保持できる環境を整えることだと再確認できました。
今の自分にその力はありませんが、国や企業、社会を動かし変えていく必要があると思いました。そのために今後も世界の現状について学んでいきたいと思っています。

またフィリピンを選んだもう1つの理由に、宗教について学びたいという思いもありました。
私と私の日本の家族は特定の宗教を信じません。しかし世界には異宗教間の争いが絶えないこと、それによって迫害されている人々がいることを知りました。宗教とは本来人々の心を癒し生活を豊かにするもの。それなのになぜそのような事態が世界で起こってしまっているのか、無宗教の私はまず1つの宗教について学ぶ必要があると考えました。そしてアジアで唯一国民の多くがキリスト教カトリック教徒であるフィリピンを選んだのです。
私のホストファミリーとホストスクールはキリスト教カトリックを信仰しています。私はカトリック教徒ではありませんが、学校でクラスメイトと共に朝の朝会や授業前後と食事前後のお祈りを一緒に行います。それから毎週日曜日にはホストファミリーと一緒に教会に行ったり、国内を旅行する際は各地の歴史ある教会を訪れたり、ホストファミリーやクラスメイトにキリスト教についてたくさん質問をしたりします。こうしてキリスト教が彼らの生活の一部であること、毎日のお祈りや教会に行くことは彼らの心を穏やかにし安らぎを与えてくれることを知りました。
しかしフィリピンはスペインやアメリカ、その他多くのアジア諸国に影響を受けた異文化国家です。私のホストスクールはミッション校ですが、中にはヒャジャブを被ったイスラム教徒の生徒や、国内には仏教徒もたくさん住んでいると聞きます。しかし彼らはお互いの宗教や考え方をリスペクトし、学校ではキリスト教についての授業はもちろん異文化共存についての授業も行います。
これは私にとってとても良い刺激になっており、留学先に他文化国家を選んだからこそできた経験だと思っています。また同じキリスト教でも多くの異なる宗派があり、生徒によって信じるものは様々です。それでありながら同じ教室にいるクラスメイトの宗教や考え方を誰1人否定する人はいないし、1人ひとり違う価値観を持っていること、それはこの国では“当たり前”になっています。私はそのようなフィリピン人の考え方にすごく好感を持ち、今後異なる宗教を学ぶに際にも是非取り入れる考え方だと感じました。

私のこれまでの留学生活は現地の友達なしでは成り立たなかったものです。私は毎日学校に行くことが楽しみで仕方なく、私の留学は学校が中心だといっても過言ではありません。それは登校初日から皆が私や日本、日本の文化に興味を持ってくれたこと、英語とフィリピン語、2カ国を使用する授業で困っている私をいつも助けてくれたり、放課後や休日は私をどこかへ連れて行ってくれます。
またクラスメイトの家族もとても私に親切にしてくださり、まさにホスピタリティ溢れるフィリピン人の性格を感じることができました。いつも私に”新しい挑戦“をさせてくれ、お互いの国の文化について共有し、“留学生として“というより”クラスメイトの一員として“普通に受け入れてくれる友達が大好きになりました。

他にもフィリピンでは日本のように水道や電気が自由に使えなかったり、公共交通機関に時刻表などありません。日本と比べると不便だと思われてしまうかもしれませんが、生活していくうちにすっかり慣れ、今ではフィリピン人の生活スタイルが大好きになりました。日本での生活ももちろん快適ですが、フィリピンでの生活もとても素敵だと気づいたのです。
そしてフィリピンはとても興味深い国です。エメラルドグリーンの海に未開の広大な自然。スペインやアメリカに統治されていた時代の名残がある美しい街並み。地域によって話す言語が異なり、美味しいフィリピン料理や伝統的な音楽など、フィリピンならではの素晴らしい文化で溢れています。また第二次世界大戦の歴史についてまた新しい視点で学ぶこともできました。
帰国まで残り2ヶ月余りとなりましたが、それまでに真の”フィリピーナ“になって、日本と距離は近いけれどあまり知られていないフィリピンの魅力をたくさん日本の家族や友人と共有したいと思っています。

最後になりますが、今回奨学金を支給してくださり、私にフィリピン留学という素晴らしい学びの場を提供してくださっている森村豊明会様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

2020年派遣 森村豊明会高校留学奨学金
AFS66期 フィリピン派遣/ 九十九 舞桜

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