出国前、タイに滞在していた10か月間、そして帰国してからも、私は多くの人になぜ留学先をタイにしたのかと聞かれました。
確かに一般に留学先としてメジャーな国ではないですが、応募した当時から将来は途上国や新興国で技術支援をするエンジニアになりたいと思っていたこと、また歴史的背景において日本と似ている部分の多いタイでこそ感じられる差異があると考えたというのが、私がタイを選んだ大きな理由でした。

タイの水かけ祭り“ソンクラン”でホストファミリーと

幸運なことに、私のホストファザーは過去世界各国で働いていた経験のあるエンジニアでした。私がタイを選んだ理由についても事前に理解してくれていたため、よく私に仕事の話を教えてくれたり、また友達のエンジニアを交えた夕食会に私を誘ってくれたりしました。
その中でも、最も印象に残っている話が国民性による仕事に対する考え方の違いについての話です。タイの中でも私が滞在していた田舎のほうはまだ開発が遅れているところなどもありました。しかし、だからといって不便であることからそこに住んでいる人々が不幸せであるかというと、そうではありませんでした。むしろ日本で日々忙殺されている日常と比べると皆笑顔で生き生きとしていたように感じました。

学校の伝統音楽部での一枚

あるときホストファザーと話している中で、
「タイは国民のほとんどが仏教徒であり、欲深くあるべきではないという考え方を重視する人が多く、それが発展の妨げとなっている部分が確かにある。でも、何事もやりすぎずある程度の心の余裕を持つことは本当に重要だと思う。」
と彼が言っていました。

学校の文化祭のステージに参加させてもらった時の一枚

私は日本にいるときから、また帰国してからも日本で生活していて不便だと思ったことはありませんでした。しかし、今このタイでの生活を振り返ってみても、これほど多くの人のやさしさに触れ幸せを肌に感じた10か月は日本では過去にありませんでした。私はこのホストファザーの言葉の中に、『微笑みの国』の真髄があると感じました。

放課後に学校前の屋台のごはんで空腹を満たす

帰国した今でも、私の将来の目標の姿は変わっていません。むしろこの留学を経て人の役に立ちたいという思いはより強くなったように感じます。この貴重な10か月で自分が受け取った幸福感を次は分が与えられるように、常に心に余裕をもって社会に貢献していきたいと思います。

最後の登校日の後にクラスメイトとお食事会

東海東京財団留学奨学金奨学生
2023年69期タイ派遣 I・Sさん

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