アメリカ合衆国ミズーリ州での約 10 か月の留学生活が幕を閉じました。地球の反対側ともいえるほど遠く離れたアメリカへ 1 人で渡り、第二の故郷と呼べる場所ができたことは私にとって大きな自信となりました。

留学中は限られた時間の中でいかに成長できるかを考え、何事にも挑戦することを心掛けていました。行事やイベントには積極的に参加し、自らコミュニケーションをとり、後悔を残さないことを常に意識して行動しました。
はじめは新しいことに取り組むことへの抵抗や、勇気が出ないこともありました。しかし挑戦した結果、新しくできるようになったことや好きなことが増えたため、徐々に挑戦することをためらわなくなっていきました。そして失敗したとしても挑戦したことを誇りに思えるようになりました。
これはホストマザーのおかげだと考えています。なぜなら彼女は私が新しいことをやってみると言うと、とても喜び、「あなたなら絶対できるよ」「あなたを誇りに思うよ」と何度も言ってくれたからです。

ホストファミリーと旅行。ブラザーと二人のシスターは社会人や大学生で、普段は家にいませんでした。旅行中に沢山関わることができ嬉しかったです。

このように前向きな言葉で背中を押してくれる人たちが周りにいたからこそ、私は挑戦し続けることができました。
人を積極的に褒めたり、自分の気持ちを素直に伝えたりすることはアメリカで多く見られた文化の一つでした。たとえば知り合いでなくても相手の服装を褒めたり、家族に愛をストレートに伝えたりするところです。言われた側はとても温かい気持ちになり、これが家族の仲がいいことの秘訣だと思いました。私は家族に素直に感謝を伝えるのを恥ずかしいと思ってしまっていたのですが、私も実践していきたいと思いました。

一方で私はとても恵まれた環境にいたにもかかわらず、心の奥底では時折孤独を感じることもありました。話せる友達は増えていく一方で、親友と呼べる存在はなかなかできませんでした。また、ホストファミリーにこれほど良くしてもらっているのに、その期待に応えられているのだろうか、と自信を失うこともありました。もともと考えすぎてしまう癖があり、この人は私のことが苦手なのではないか、友達の輪に入ったら嫌がられるのではないかとネガティブ思考に陥ってしまっていました。
しかしこれは行動を起こす前から自分で決めつけ、諦めてしまっているだけだと気が付きました。これまで以上にホストファミリーとコミュニケーションをとるようにしたり、友達を遊びに誘ったりするなど積極的に行動しました。その結果、少しずつでもファミリーや友達との距離が縮まったということを実感することができました。ホストファミリーから「あなたを受け入れて本当によかった。これほど私たち家族にぴったりな子はいない。」と言ってもらえた時、言葉では言い表せないくらい幸せでした。
この先も、つらさや孤独を感じることがあるかもしれません。しかしそこで殻に閉じこもってしまうのではなく、失敗を恐れず一歩踏み出す勇気を持ち続けていきたいです。

プロムの時にホストファミリーと。二人のシスターと同じ学校に通い、ホストマザーはその学校で働いていたため、とても心強かったです。

他にも、ホストファミリーとの会話から気が付いたことは、自分の当たり前だと思っていたことが国によって全く違うということです。学校の授業やレストランなど日常の中の小さな違いから、政治、医療制度などの大きな違いまで多くのことについて話し合いました。実際に異文化の国へ行ったり、異なる文化を持つ人から話を聞いたりすることで、様々な違いやなぜその違いが生まれるのか、そこにある考え方にまで触れることができました。
ホストマザーは、「私を受け入れるまでは日常全てが当たり前になっていて、そんなところに違いがあるなんて思いもしなかった」と言っていました。その言葉からお互いの文化について知ることができたということを実感し、とても嬉しく感じました。

冬の部活ではミュージカルの裏方として活動しました。舞台装置や大道具を作り、本番前は何度もリハーサルがありました。大変な仕事でしたが、達成感を味わうことができ、新しい友達も沢山できました。

今はインターネットなどにより、さまざまな国に関する情報を簡単に入手することができます。私は、アメリカ人は明るく陽気で、自分の意見をはっきり言うというイメージを持っていました。しかし実際はそういう人たちばかりではなく、静かに一人で過ごすことが好きな人や自分の意見をあまり言えずに人に合わせてしまうという人もいました。
この経験から、実際にその国に行き、話してみなければ分からないことが数多くあるのだと実感しました。それぞれの国や人に対して固定観念にとらわれず、その情報はあくまでも一面的なものであり、それが本当に正しいかどうかはわからないということを忘れないようにすることが大切だと思いました。
そして様々な国の文化や人々の考えを知り、互いの立場を超えて、理解しようと語り合うこと。このような対話の積み重ねが、平和な社会を築くことにもつながるのではないかと感じました。
日常生活でも、違いがあるとその事実だけに目を向けてしまい、相手の気持ちやその違いが生まれた背景にまで目を向けることを忘れてしまうことがあるのではないかと思います。そのようなときに相手の気持ちや状況を想像することや、話し合いから逃げるのではなく、向き合い理解しようとする姿勢が大切なのだと思いました。留学を通して体験したことや感じたことを人々に伝え続け、語り合うことで少しでも社会に貢献していきたいと考えています。

ホストファミリーと帰国前に寿司屋へ行きました。サプライズでフォトブックを作ってくれており、それを見たときは涙が止まりませんでした。

今回このような留学ができたことは決して当たり前のことではなく、奇跡のようなものだったと感じています。文化も言語も違う遠い国で暮らしていた人たちと本当の家族のような絆を築き、さまざまな経験を共にするということはとてもすごいことだなと改めて感じました。
ホストファミリーや現地のボランティアの方々、学校の先生や友達、地域の方々など大変多くの素晴らしい出会いに恵まれました。これらの出会いは、日本の家族や友人、この留学に関わってくださった多くの方々のサポートがあってこそ実現したものだということを強く感じました。このような貴重な経験をすることができたことに心から感謝しています。
留学で得た学びを自分自身の成長だけにとどめるのではなく、周囲の人々にも伝え、多様な価値観を尊重できる社会づくりに少しでも貢献していきたいです。そして将来は、私自身がホストファミリーやボランティアとして留学生を支える立場となり、この経験と受けた恩を次の世代へつないでいきたいと考えています。

三菱商事高校生海外留学奨学金 奨学生
2025年・72期 アメリカ派遣 T.A.さん

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